「日銀はビハインド・ザ・カーブに陥っている」
Q:雇用統計局の改革は 経済データへの信頼や市場にも大きな影響を与えます。金融市場と債券市場について話しましょう。あなたは一貫して10年物国債を重視する立場でしたね。2年物と10年物の金利差はここ数カ月で非常に安定しています。しかし10年物と30年物の間には乖離が見られ始めています。長官は「国のトップの債券セールスマン」を自称されていますが、30年債を発行するメリットは何なのでしょうか? 日本・英国・欧州に負担を肩代わりさせているように感じますが、発行する価値はあるのでしょうか?
ベッセント財務長官:素晴らしい質問です。我々は インフレ期待を低水準に維持すべく断固として取り組みます。米国の10年債は、年間を通じて利回りが低下している数少ない10年物の一つです。つまり財務省とFRBに信頼がありインフレ期待は十分に抑制されています。
しかし日本はインフレ問題を抱えておりアメリカはその影響を受けています。植田総裁と話しましたが、あくまで 私の見解では日銀はビハインド・ザ・カーブに陥っています。なので日銀は利上げを行い、インフレを抑制する必要があるでしょう。ドイツでも先週 金利が上昇しました。これに伴い米国の30年債も引っ張られているのです。債務上限問題で対立している間は、財務省の「一般勘定」を短期債の発行で補充しました。
Q:これらを考慮すると30年債の発行を減らす理由が増えたとお考えですか?これからの変化を見て、ご自身の考えはどのように変化していますか?
ベッセント財務長官:確かに状況は変化しており、今後の成り行きを見ていきたいと思います。我々が引き継いだ巨額の赤字を減らしていくにつれて、米国の利回り曲線全体が世界と比較し並行的に下方シフトする可能性があると思います。
Q:この件についてFRBと協力できると思いますか?FRBが保有する債券の加重平均残存期間は約9年だと思いますが、未償還の債券、手形、債券の平均残存期間は6年近くですが その差を少し埋めるというのは?
ベッセント財務長官:私はFRBが大規模な資産購入を再び行う必要はないと思っています。イールドカーブの中心部、つまりはアセットマネージャーが最も関心を抱いている部分の需要は良好です。
