1991年、ノルウェー北部にある人口わずか300人の小さな村、ブゴイネスは、まさに壊滅寸前の状態でした。村の唯一の産業であるタラ漁は、タラの個体数の激減によって成り立たなくなり、漁師たちは収入の道を絶たれ、村全体が経済的破綻の危機に瀕していたのです。
追い詰められた村は、ついに全国紙に広告を掲載しました。その内容は「住民全員の移住先を探している」という、あまりにも悲痛なものでした。
そんな絶望のさなか、事態は思わぬ方向へと動き始めます。地元の漁師たちの網に、まるで太古の生物のような姿をした巨大な甲殻類がかかり始めたのです。それが、ロシアからやってきたタラバガニでした。
このタラバガニは、スターリン時代のソ連が、ロシア西岸に移植した外来種でした。当初、この「侵略的な厄介者」は、タラの個体数を減らす原因として村人たちに嫌われていましたが、皮肉にもこの外来種が、ブゴイネス村の運命を劇的に変えることになります。

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