(ブルームバーグ):人工知能(AI)向け半導体で世界2位の米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、中国市場への復帰は予測が難しいと指摘し、AI事業の明るい見通しに影を落とした。
AMDは5日の決算発表の中で、中国向けに設計したAIプロセッサ「Instinct MI308」の同国での販売予測に言及しなかった。こうした不透明感が重しとなり、同社の株価は時間外取引で一時約5%下落した。
トランプ政権は4月、この種の半導体について中国向けの出荷を禁止した。だが7月に方針を転換し、AMDとエヌビディアが近く販売を再開できるとの期待が高まっていた。世界最大の半導体市場である中国への輸出規制で、両社は数十億ドル規模の売り上げを失うリスクがあった。

AMDのリサ・スー最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会見で「ライセンスがまだ審査中であるため、7-9月(第3四半期)見通しにMI308の売り上げを含めていない」と説明した。
一方で、「今後、AI事業を年間で数百億ドル規模に拡大する明確な道筋が見えている」と述べ、AIコンピューティング市場の先行きに楽観的な見方を示した。また、新製品「MI350」シリーズの本格展開に動いていると明らかにした。
AMDの株価は年初からこの日の通常取引終了までに44%上昇しており、半導体分野で最も好調な銘柄となっている。
電話会見では、中国でのAI関連売上高の見通しやその時期についてアナリストらが繰り返し質問し、AI半導体全体の長期的な売上高見通しについても、スー氏に明言を促した。
だがスー氏とジーン・フー最高財務責任者(CFO)は、AI市場の成長性は確信しているものの、具体的な予測は依然として困難だとする姿勢を貫いた。
こうした不確実性にもかかわらず、AMDが示した7-9月期売上高見通しは約87億ドル(約1兆2800億円)と、アナリスト予想平均の83億7000万ドルを上回った。
4-6月(第2四半期)の売上高は前年同期比32%増の77億ドルで、市場予想平均の74億3000万ドルを超えた。調整後1株利益は48セントで、市場予想の49セントにわずかに届かなかった。
売上高内訳はデータセンター分野が14%増の32億ドル。アナリスト予想は32億5000万ドルだった。パソコン分野は67%増の25億ドルとなった。予想は25億6000万ドル。
原題:AMD’s China Concerns Overshadow Upbeat Sales Forecast for AI (2)、AMD Forecast Shows Lingering Impact of China Export Restrictions(抜粋)
(CEOのコメントなどを追加して更新します)
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