米JPモルガン・チェース傘下のJPモルガン証券の2025年3月期の純利益は前の期と比べて2.4倍の456億円となり、少なくとも過去7年間で最高となった。

モルガン・スタンレーMUFG証券、BNPパリバ証券を含めた国内で事業展開する外資系証券3社の同期の決算が6日までに出そろい、JPモルガンが唯一、増益となった。証券の引き受け業務や企業の合併・買収(M&A)案件の拡大に伴う助言業務などで収益を伸ばした。

日本ではここ数年、コーポレートガバナンス(企業統治)改革が進み、企業はM&Aを含めた事業再編に前向きな姿勢を強めている。投資銀行にとってはビジネス機会となり、米シティグループ証券やドイツ証券など外資系証券の間で人材を巡る競争も激化している。

米モルガン・スタンレーが過半を出資するモルガンMUFG証の25年3月期の売上高に当たる純営業収益は前の期に比べて13%増の1532億円と3期連続で過去最高となった。株式の委託手数料や引き受け・売り出しに関する手数料が伸びた。

モルガンMUFG証の田村アルベルト社長は「日本の株式市場が最高値を付ける一方、日本銀行が金融政策の正常化へと動くことで国債市場でのボラティリティーが上昇するなど、当社のセールスやトレーディングビジネスにとって実に活発な一年となった」と振り返った。「三菱UFJフィナンシャル・グループとのパートナーシップを通じて国内トップの証券会社を目指す」とも述べた。

同証の純利益は、取引量拡大に伴う責任準備金の積み増しにより2.3%の減益となった。BNPパリバ証券の純利益は、委託手数料が減少し、2.9%減だった。

12月期決算を採用する主な外資系証券7社はすでに24年12月期の業績を発表している。決算期は異なるものの、25年3月期決算を発表した3社を合わせた外資系証券10社の純利益の比較では、JPモルガンがトップとなった。

昨年は急激な円高進行を受けて8月に国内の株式相場は急落。主要株価指数がブラックマンデーのあった1987年10月以来の下落率を記録するなど歴史的な暴落に見舞われ、外資系証券全体では減益決算が目立つ内容だった。

(5段落目にモルガンMUFG証社長のコメントを一部追加します)

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