イーロン・マスク氏の脳インプラント開発会社ニューラリンクに挑む中国のスタートアップ、浙江強脳科技(BrainCo)が、香港もしくは中国本土での新規株式公開(IPO)を見据え、13億ドル(約1900億円)を超える企業評価額で資金調達を進めている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

米ハーバード大学で学んだ韓璧丞氏が2015年に創業した強脳科技は、IPO前に1億ドルほどを集める方向で交渉中だ。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。上場に向けた書類作成も始めているが、上場先やその他の詳細についてはまだ決まっていないという。

浙江省杭州市を本拠とする強脳科技は、今年注目を集めた中国の先端テクノロジースタートアップ6社「杭州六小竜」の1社に数えられている。高性能の対話型人工知能(AI)で世界を驚かせたDeepSeek(ディープシーク)も杭州市に本社を構える杭州六小竜の一角だ。

強脳科技は義手などの生体工学技術や、脳でコンピューターを操作するテクノロジーの開発に取り組んでいる。

ニューラリンクに挑戦する中国のスタートアップは強脳科技だけではない。中国メディアの第一財経によれば、上海階梯医療科技が3億5000万元(約72億円)を調達し、国内初となる侵襲型ブレインコンピューターインターフェースの臨床試験を開始した。

韓氏は4月、香港進出を検討していると香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)に述べていた。

強脳科技の資金調達やIPOを巡る協議は流動的で、市場環境により内容が変更され得る。

ただ、同社の資金集めは、AIからロボット工学に至る次世代技術でテクノロジー業界に変革をもたらそうとするスタートアップへの投資家の関心が高まっていることを浮き彫りにしている。強脳科技の担当者はコメント要請に応じなかった。

原題:China Neuralink Rival Seeks Pre-IPO Funds at $1.3 Billion Value(抜粋)

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