(ブルームバーグ):トランプ米大統領は29日、ロシアに対してウクライナと10日以内に停戦で合意するよう求め、応じなければ経済制裁を科す方針を示した。ロシアのプーチン大統領に対して、戦争終結を迫る新たな期限を正式に発表した格好だ。
「今日から10日間だ」と、訪問先のスコットランドからワシントンに戻る大統領専用機エアフォースワン内で記者団に語った。新たな期限は8月8日となる。
「関税などの措置を講じるつもりだ。プーチン氏は戦争を続けたいと思っているだろうから、ロシアに効果があるかは分からない」とも述べた。
トランプ氏は28日、ウクライナ停戦への合意期限を短縮すると表明。これまでは50日としていたが、10-12日に前倒しすると述べていた。
今月初めには、ロシアが応じなければ100%の関税を課すと表明。側近らは、ロシア産原油などの輸出品を購入する国・地域に適用される「二次制裁」の形となる可能性が高いと説明している。
追加の対ロ制裁が原油市場に与える影響について懸念はないかと問われると、「全く心配していない。米国には原油がたくさんある。さらに増産すればいいだけだ」と、トランプ氏は答えた。
トランプ氏がロシアに対する追加関税をあらためて警告したのを受け、原油価格は続伸し1バレル=69ドルを上回った。ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油は、イスラエルがイランに対して空爆を実施した6月以来最大の上げを記録した。
過去にもトランプ氏はプーチン氏に対して経済制裁を警告してきたが、交渉の余地を残すため実行には至らなかった。二次制裁は、主要貿易相手国であるインドと中国に打撃を与える可能性がある。ただ、米国がインドとの関税引き下げ合意や中国との関税停止期間延長を目指している最中であることから、ロシアの貿易相手国を制裁する可能性には懐疑的な見方が強まっている。
一方、ロシア大統領府は29日、トランプ氏による猶予期限短縮の警告について「認識している」としたが、プーチン大統領が方針を転換する可能性は低いことを明確にした。
ロシアとウクライナの戦争を早期に終結させると公約して大統領に再選されたトランプ氏は、戦闘停止に応じないプーチン氏に対し、不満を強めている。新たな期限に対するロシア側の反応について問われたトランプ氏は「何の返答もない。残念だ」と語った。
原題:Trump Says Russia Has 10 More Days to Reach Ukraine Truce (2)(抜粋)
(トランプ大統領の発言や市場の反応などを追加して更新します)
--取材協力:Jennifer A Dlouhy.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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