ニューヨーク・マンハッタンにカジノが建設される可能性はなくなった。

ニューヨーク市および州の選出議員で構成される委員会は22日、マンハッタン東側の国連本部近くに112億ドル(約1兆6600億円)規模のカジノを建設する計画を棄却した。この「フリーダム・プラザ」計画は、オフィスビル所有者ステファン・ソロビエフ氏と先住民系企業モヒガンによるものだった。

先週には他の2件のマンハッタン・カジノ案も棄却されていた。これらには、SLグリーン・リアルティ、シーザーズ・エンターテインメント、シルバースタイン・プロパティーズなどが関与していた。これにより、数年にわたり検討されてきたニューヨーク州南部への最大3件のカジノ誘致計画は、マンハッタンへの設置を断念せざるを得なくなった。

カジノ免許の地域審査は今後、既にスロットマシンを設置しているヨンカーズやクイーンズの競馬場、さらにコニーアイランドなど他の候補地に焦点が移る。

今回のマンハッタン案の頓挫により、最大の恩恵を受ける可能性があるのは、ニューヨーク・メッツのオーナーである富豪スティーブ・コーエン氏だ。同氏はハードロック・インターナショナルと組み、メッツの本拠地シティ・フィールドの隣接地にカジノを建設する計画を進めている。

これらの提案は9月末までに地域の投票にかけられ、承認されたプロジェクトは州レベルでのさらなる審査を受ける。ライセンスの最終的な付与は12月に行われる予定だ。

当初、ニューヨーク州が州南部にカジノを認可する方針を打ち出した際、マンハッタンに1 件は設置されると広く予想されていた。裕福な地元住民や資金力のある観光客が多く、不動産開発業者、カジノ運営会社、税収当局にとって魅力的な市場と見なされていたためだ。

「フリーダム・プラザ」計画の候補地

しかし、これらの提案は地域住民の反発に直面した。反対派は都市部でのカジノがギャンブル依存や薬物乱用といった深刻な社会問題を悪化させ、交通渋滞によって市民生活に支障をきたすと懸念していた。

原題:Last Manhattan Casino Bid Knocked Out of Fight for License (2)(抜粋)

--取材協力:Nacha Cattan.

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