(ブルームバーグ):28日の債券相場は上昇。米国と欧州連合(EU)の貿易協定合意にもかかわらず株式相場が下げており、リスク選好による債券安を警戒していた向きの買いが優勢だ。日本銀行の早期利上げ観測による売りは一巡したとの見方が出ている。
りそなアセットマネジメントの藤原貴志チーフファンドマネジャーは、日銀利上げ環境は整ってきたが、関税の影響を見極めるのであれば10月の企業短期経済観測調査(短観)や日銀支店長会議を見てみたいということで、9月や10月の利上げ織り込みが剝落して5年債や10年債などが買われていると述べた。
日銀は午前の金融調節で、定例の国債買い入れオペ実施を通知した。対象は残存期間5年超10年以下、10年超25年以下、25年超、物価連動債で、買い入れ額はいずれも前回から据え置いた。
日銀:国債買い入れオペ一覧 (表)
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、米国とEUの合意でリスクオンムードが強まるとみていたが、日経平均株価が下げているほか、超長期債が先週後半から落ち着き始めており、金利上昇を警戒する動きが一服していると指摘。今週の材料を見極めようとして、ポジション調整的な買いが入っていると述べた。
日銀は30、31日と金融政策決定会合を開催する。長谷川氏は、年内の利上げは織り込んでいるとした上で、「今回会合では市場が警戒するようなタカ派的なトーンは出ない」との見方を示した。
一方、自民党は28日、両院議員懇談会を開き大敗した参院選を総括する。石破茂首相の早期退陣の動きが強まれば、財政悪化懸念から債券売りにつながる可能性がある。

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