EUとの交渉で日本はモデルになりうる

インタビュアー: 日本のケースはEUにとってモデルになりますか?

ラトニック長官: そうかもしれません。交渉次第でしょう。EUは市場を開放する気があるのか、という点にかかっています。ヨーロッパが1兆ドルを出してまで、関税率を15%以下にしようとはしないでしょうね。15%以下というのは自動車では有り得ないと思います。

大国がそんなに低い関税は無理だと思います。小国では有り得るかもしれませんが、それは大統領が決めることです。しかし大国は苦戦するでしょうね。

インタビュアー: 長官がEUと毎日交渉しているのは承知していますが、EUが受け入れなければならない最低関税率は日本と同じ15%なのでしょうか?

ラトニック長官: 世界中の誰もがドナルド・トランプを注視しています。私はテーブルセッターとして物事を整理し構造化します。大統領は後ろにあった大きなボードの写真を投稿しましたが、もちろんそのボードは私が作ったものです。しかし実際はアメリカ合衆国の首席交渉官、ドナルド・トランプがそこに座っているのです。

インタビュアー: 長官は「解放の日」のボードも作成し、各国の関税率を目にしました。昨夜のボードも作成されましたが、ヨーロッパの場合はどうなるのでしょうか?もし一律15%の関税率なら、ヨーロッパは何を購買すれば大統領の懸念を払拭できるのでしょうか?LNGでしょうか?それとも農産物でしょうか?

ラトニック長官: ヨーロッパの経済規模は20兆ドルです。アメリカは30兆ドルを僅かに下回り、中国・EUは約20兆ドルと規模が似ています。もしEUが大統領に「市場を本当に開放します」、つまりアメリカ車を受け入れますと言えば、それは変わるでしょう

日本がしたことを考えてください。彼らは「アメリカの規格でアメリカ車を受け入れます。だから、わざわざ違う車を作る必要はありません。デトロイトで作った車を船に乗せて送ればいいのです」と言ったのです。

もしヨーロッパがそれを、本当の意味で受け入れ、アメリカ製品をヨーロッパで本当に受け入れれば、それはアメリカにとって何千億ドルもの輸出機会になります。それは大統領を動かすでしょう。なぜなら、アメリカにとってその機会は非常に大きいと言うでしょうから。

インタビュアー: 来週、その合意に至ると思いますか?EUは合意に至らなければ報復すると言っていますね?

ラトニック長官: 何ヶ月も協議してきましたが…。大統領は彼らに手紙を書き、「合意が成立しなければ30%を課す」と言ったのです。もちろん、ドナルド・トランプは真剣です。ディールがなければ関税率は30%です。EUは圧力を感じますよね。そして「これが代替案だ」と話します。EUは確実に合意をしたいのです。

しかし、ドナルド・トランプは合意をしたいのでしょうか?トランプはEUの市場開放を評価するでしょうか?EUは「完全に」開放するでしょうか? それこそがトランプが求めているものです。私はEUはそうすると思っています。「完全に」市場を開放すると。

これはアメリカがこれまでに経験したことのないことです。ドナルド・トランプが世界中の市場を開いているという考え方です。アメリカの牧場主や漁師のためにも、私たちの農家にとっても、誰も見たことのない素晴らしい機会です。

私たちはストックホルム症候群にかかっていますよね。世界は私たちをあまりにも長く抑圧してきたので、他国がアメリカにするように自由に輸出できる世界を想像すらできません。しかし、その世界は到来します。それがドナルド・トランプが「黄金時代」と呼ぶものです。他国がアメリカを扱うように、アメリカが世界に輸出できる能力のことです。