中国との交渉は「何がラインを超えて、何が許容できるか」

インタビュアー: 来週は一時的にヨーロッパから離れて、中国とのストックホルム会談に向かわれるのですよね。中国を巡っては、NVIDIAのジェンスン・フアン氏がトランプ大統領と話をしました。長官もその場にいたと思いますが、フアン氏はどのようにしてH20チップの中国への再販の許可を得たのですか?

ラトニック長官: はい。H20はバイデン政権下で開放されていました。バイデン政権下で自由に取引されていましたが、私たちが介入し、「待て待て、それは強力なチップだ」と、4月に禁止しました。そして今は磁石のことがあります。

生産者への磁石の供給を確保しようとしていますが、これには輸出規制がかかっています。しかし、中国が磁石を供給すれば、H20の規制も解除されます。ただ、これは妥当だと思います。前回は自由に販売できたので。

インタビュアー: H20は強力なチップと言っていましたが、中国がH20を入手することに安全保障上の懸念はありますか?

ラトニック長官: H20は世界で3番目に優れたチップでしたが、今はNVIDIAのBlackwellが最高なので4番目です。H200、H100ときてH20は4番目です。私は大統領が、中国との関係が良好であれば購入できるようにすると決定したのだと思います。

いまライセンスメカニズムを導入し運用を開始しています。大統領は中国が購入できるように決定しましたが、それは中国が我々との合意を履行し、アメリカの生産者にレアアースを供給することとのトレードオフになります。

インタビュアー: 来週、中国のカウンターパートと会う際は何を議論する予定ですか?輸出規制の緩和、あるいはそれ以上のことが議題に上がるのでしょうか?

ラトニック長官: 米中は共に巨大な経済大国であり、お互いにラインを意識した上で貿易すべきだと考えています。

中国はアメリカの農産物や野菜を買いたがっています。彼らは何でも栽培できるわけではなく、アメリカの穀倉地帯のようなものもありません。だから中国はそれらの製品を買いたがっています。そして中国が作る多くのものは、アメリカが買いたがるものであり、棚に安価なものが並ぶことを望んでいます。

だから、ラインに抵触せず、市場をより良く開放し、中国でよりアメリカ製品を販売できるようにさせよ、ということです。そして、競合としてのラインはどこにあるのか。極超音速ミサイルや最高のチップは売りません。中国は競合なので、それはあり得ません。私たちが本当に議論するのは、そのラインがどこにあるかです。

H20はそのラインに抵触するか微妙な問題であり、議論が必要です。しかし、もちろん安価なベビー服を買いたいですよね?もろろんでそうです。だからこれは完全に理にかなっています。だから市場を開いていきましょう。ラインを超えて市場を開くことはありません。そして何を議論するかというと、そのラインが何を超えていて、何を許容できるかです。

ただ、中国がアメリカに売って、その逆が起きないことをしたいのか、ということです。大統領と中国の習国家主席はさらなるビジネスをする事で合意しました。だから私たちは市場をもっと開放することについて話します。理にかなったことであれば。そして本当に議論するのは、取り組むべき領域なのか、イエスかノーなのか、という点です。

インタビュアー: 最後に一つお聞きしたいのですが、商務省なので直接対応されるか気がかりなのですが、あなたの部下が現在、中国から出国禁止になっていますが、何か最新情報はありますか?

ラトニック長官: 信じられないですよね。私たちの職員の一人が、中国籍の人物で特許担当として働いています。彼が帰国したら逮捕され、パスポートを取り上げています。国務省に対応を任せていますが、これはとんでもない行為です。本当に言語道断です。