(ブルームバーグ):米国との関税合意を受けて史上最高値を更新した東証株価指数(TOPIX)に、黄信号が点灯している。テクニカル指標やバリュエーション(投資尺度)が過熱感や割高懸念を示し、相場は短期的に調整する可能性がある。
アバディーン・ジャパンの荒川久志取締役兼運用部長は、足元の株高は2024年8月の急落前の急ピッチな上げを思い起こさせるとし、「スピード調整が入るかもしれない」と話す。
TOPIXは昨年8月、日本銀行の利上げと米国の景気後退懸念が重なったことで急落した。その直前の7月11日には当時の最高値を更新していた。
以下は、過熱感などを示す3つのチャート。
買われ過ぎの領域
TOPIXの相対力指数(RSI)は「買われ過ぎ」を示す70を超え、24日には79付近まで上昇した。70超えは昨年7月11日以来だ。
25日移動平均線を上放れ
TOPIXは25日移動平均線を5%以上上回った。一般的に同線からの乖離(かいり)率が5%を超えると、相場が目先調整局面を迎えるサインとされる。
バリュエーションの膨張
TOPIXの上昇は昨年7月と同様に売買代金の増加を伴っておらず、株高への確信が投資家の間で広がっていない可能性を示唆する。
MCPアセット・マネジメントの大塚理恵子ストラテジストは、8月初旬は市場参加者が減って売買が少なくなる「夏枯れ相場」になるため、ボラティリティーが高まりやすいと話す。7月末から本格化する主要企業の決算発表で1株利益(EPS)が上向けば相場の割高感は解消する可能性はあるが、一部企業は関税の影響を見極める中で慎重な見通しを維持することが見込まれると述べた。
TOPIXの予想株価収益率(PER)は15.7倍と、昨年8月の下落直前の水準に近づき、株価が割高になりつつあることを示す。ただ、最高値の更新を続ける米S&P500種株価指数の予想PERは20倍を上回るため、日本株の相対的な割安感は残る。
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