米医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループ幹部を昨年殺害した罪で起訴されたルイジ・マンジョーネ被告(27)に対し、ニューヨーク州裁判所のキャロ判事は第1級殺人罪を棄却し、より軽い殺人罪については裁判を認めた。キャロ判事は被告の犯行をテロ行為と認定するには証拠が不十分だと判断した。

判事は16日に行われた短時間の審理で、第2級殺人罪など複数の罪状では引き続き審理可能とした。これにより、仮釈放なしの終身刑を言い渡される可能性はなくなった。マンジョーネ被告は保険大手幹部のブライアン・トンプソン氏をマンハッタンのホテル前で待ち伏せ、銃撃したとして起訴されている。

同被告には連邦検察当局も殺人罪で訴追しており、死刑求刑を目指している。州裁判で第1級殺人罪が退けられたことは、マンハッタン地区のブラッグ検事にとって大きな打撃となった。

動画:公判前審理に出廷したルイジ・マンジョーネ被告

マンジョーネ被告は保険幹部の殺害で医療制度への怒りを代弁したとして、一部で英雄視されている。

検察は被告が医療業界の職員を威嚇し、市民の関心を「業界の強欲」に向けさせる目的で犯行に及んだテロ行為だと主張したが、判事はこれを支持せず、弁護側の主張を認めた。

ニューヨーク州地裁での公判前審理に出廷したルイジ・マンジョーネ被告(9月16日)

キャロ判事は被告が所持していたマニフェストに言及し、犯行の意図が「脅迫や威嚇ではなく、保険業界の強欲に対する関心を集めることだった」と審理後の意見書で述べた。

拘置服を着たマンジョーネ被告は審理後、支持者らに手を振った。弁護団はコメントせずに裁判所を後にした。

トンプソン氏銃撃事件は犯罪の大胆さとその後の全国的な捜索劇により、大きな注目を集めた。事件当日、被告はユナイテッドヘルスの投資家向けイベントが行われていたホテル前で、3Dプリンター製の銃を用いてトンプソン氏を射殺したとされる。犯行から数日後、ペンシルベニア州のマクドナルド店舗で逮捕された当時、被告は医療業界を非難するマニフェストと、最高経営責任者(CEO)殺害計画に言及したノートを所持していたと当局は述べている。

原題:Mangione First-Degree Murder Charge in NY Case Is Dismissed (2)(抜粋)

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