(ブルームバーグ):イーロン・マスク氏の人工知能(AI)スタートアップ企業xAIは、サウジアラビアでデータセンターの容量リースに向けた協議を進めていると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。安価なエネルギーと政治的な支援が得られる地域で自社のインフラを拡張する取り組みの一環だ。
関係者によると、xAIは現在、パートナー候補2社と初期段階の協議を行っている。うち1社はサウジの政府系ファンド(SWF)、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が支援するAI企業ヒューメインで、xAIに数ギガワット規模の容量を提供する案を提示している。
もう1社は200メガワットの施設を建設中で、容量は小さいがより早期に利用可能だという。いずれも非公開の協議だとして、関係者は匿名を条件に語った。

ヒューメインの提案は非常に野心的だが、同社がこれまでに表明したインフラ整備の多くはまだ着工されておらず、実際の提携には時間がかかる。また、提携が実現したとしても、そのコンピューティングリソースをマスク氏が利用できるようになるのは数年後で、短期的な解決策とはなりにくい。
一方、もう一つの候補企業は200メガワット規模の施設の建設に既に着手しており、xAIにとって短期的により現実的な選択肢となり得ると、関係者1人が語った。
いずれの場合も、xAIが施設を所有することはなく、データセンター内のスペースをリースして、AIモデルの学習や運用に必要な膨大な演算処理を行うことになる。
マスク氏とxAI、ヒューメインの担当者はいずれもコメントの要請に応じなかった。
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で教壇に立つキャスリン・ハフ氏は16日、ブルームバーグ・テレビジョンでxAIの協議に関する報道について、「非常に理にかなっている。電力需要が大幅に増加する中で、データセンターの運用コストと電力供給コストとのバランスを取る必要が出てくるだろう」と指摘。「新たな原子力発電所の建設を検討する可能性のある国々が、選択肢としてすぐに私の頭に浮かんだ」と述べた。
同氏はバイデン前政権下でエネルギー省原子力部門の高官を務めた。

原題:Musk’s xAI in Talks With Saudi’s Humain on Data Center Deal (1)(抜粋)
--取材協力:Omar El Chmouri.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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