米ニューヨーク市マンハッタンのアパート家賃は10月、前月から小幅に上昇した。11月に実施されたニューヨーク市長選では、一部賃貸住宅の家賃値上げ凍結といったアフォーダビリティー(暮らし向き)改善を公約に掲げたゾーラン・マムダニ氏が当選した。

不動産鑑定会社ミラー・サミュエルと仲介業者のダグラス・エリマンによると、10月に新規契約された賃貸物件の賃料の中央値は4600ドル(約71万円)で、過去3番目に高い水準。前年同月比7.1%、前月比で1.1%上昇した。

 

ミラー・サミュエルのジョナサン・ミラー社長によれば、例年ニューヨークの賃貸市場は秋に落ち着く傾向があるが、10月は物件探しの動きが依然活発だった。賃貸在庫の減少が家賃高止まりを招いている。マンハッタンの掲載物件数は前年比で3.4%減少した。

ニューヨークでは住民の3分の2が賃貸物件に居住しているが、家賃は上昇傾向が続いている。マムダニ氏は選挙戦中、家賃安定型物件の値上げ凍結を公約に掲げ、住宅建設を加速させるための住民投票案件にも賛同した。ただミラー氏は、マムダニ氏が提案する家賃凍結策について、市場価格で取引される規制対象外のアパートの家賃を押し上げる可能性があると指摘した。

民主社会主義者を名乗るマムダニ氏が市長に当選したことで富裕層が流出するとの懸念があったものの、10月の賃貸契約や住宅販売の動向は「ニューヨークからの脱出は起きていない」ことを示していると、ミラー氏は指摘。

「もしニューヨーク市外への脱出が起きているのであれば、家賃も契約件数も上がるはずがない。実際に起きているのはその逆だ」と指摘。「住宅に関するアフォーダビリティーは悪化している」と述べた。

マンハッタンの高級賃貸市場では、10月の家賃中央値が1万1995ドルに達し、前年同月比で20%の大幅上昇となった。

より安い物件を求めてマンハッタン以外に目を向けた借り手も、ほとんど救いを見いだせなかった。10月のブルックリンの家賃中央値は3850ドルで、前年同月比6.9%上昇。ロングアイランドシティやアストリアを含むクイーンズ北西部では、中央値が前年比7.4%上昇して3598ドルとなった。

原題:Manhattan Rents Climbed in Month Before Mamdani Victory (1)(抜粋)

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