オランダ政府は、洋上風力発電の目標を最大4割引き下げる方針だ。2040年までに50ギガワットの発電容量を目指していたが、もはや実現可能ではないと判断した。

新たな目標は30-40ギガワットの範囲となる見込み。現行の発電容量の5ギガワット強を上回るものの、数年前に想定されていた水準を下回る。ヘルマンス気候政策・グリーン成長相がオランダ議会に宛てた書簡で明らかになった。

ヘルマンス氏は、従来の目標を「現実的ではない」と指摘。洋上風力発電セクターにとっては、ここ数年のコスト高騰により先行きが不透明な中で後退を示す事例が加わった形だ。新たな目標はオランダが洋上風力発電の拡大を進める上で、より実現可能な水準と見なされた。

同書簡によると、洋上風力は引き続き将来のエネルギー戦略に不可欠と位置付けられているものの、コストが上昇する中、電力需要の伸びは予想を下回っている。オランダの洋上風力発電所は、ほとんどが補助金なしで建設されており、通常は発電事業者と産業界との契約によって支えられている。

だが、こうした取引の需要は減少傾向にある。ドイツの化学品メーカー、BASFは今年に入り、1年前に取得したオランダの洋上風力発電所の持ち分を手放し、3億ユーロ(約520億円)の損失を計上した。この決定の背景には、電力消費が従来予想より鈍化する可能性が高いとの判断があった。

各国政府や開発業者は、電力を利用したグリーン水素の製造が需要増につながると見込んでいたが、グリーン水素の製造コストが高いため、投資は伸び悩んでいる。

原題:Dutch Government Ditches ‘Not Realistic’ Offshore Wind Goal(抜粋)

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