(ブルームバーグ):ロンドンでは家賃の上昇ペースが鈍化し、2年ぶりの低い上昇率となった。専門家はその背景には移民の減少や、多くの住民にとって手の届かない水準に上昇した家賃を挙げている。
英政府統計局(ONS)が16日発表したところによると、ロンドンでは民間賃貸住宅の平均家賃が6月に前年同月比7.3%上昇し、月額2252ポンド(約44万7000円)となった。家賃上昇ペースの鈍化は7カ月連続で、6月の上昇率は2023年4月以来の低水準だった。
ロンドンの借り手を苦しめてきた急激な家賃の上昇は、収束しつつあることがあらためて示唆された。それでも家賃は高止まりしており、年間の上昇率も新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前やその最中を大幅に上回っている。このため多くの若者にとって生活費の負担はなお重く、危機的な状況が続いている。
全国ベースでの家賃は前年同月比で6.7%上昇と、5月の7%上昇からやや伸びが鈍化した。
不動産情報サイト「ズープラ」のリサーチ担当エグゼクティブディレクター、リチャード・ドネル氏は「増える家賃負担や移民の減少、さらに住宅ローン規制の緩和によって、高所得の借り手にとっては住宅購入のハードルが下がりつつある。こうした要因から家賃の上昇ペースも減速している」と分析した。
公式統計によれば、2024年に移住した移民の数はネットで43万1000人と、前年の半分に減少した。記録的に増えた移民の移住を抑制しようと、現在の労働党政権だけでなく、前保守党政権も対応策を講じてきた。

原題:London Rents Increase at the Slowest Pace in Over Two Years(抜粋)
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