(ブルームバーグ):米銀ゴールドマン・サックス・グループは、同行に対する若手バンカーの忠誠心を定期的に確認する方針だ。人材探しに余念のないプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社による引き抜きを防止するためだ。
事情に詳しい関係者が匿名を条件に述べたところによると、ゴールドマンは新たに採用したアナリストに対し、他社からの誘いを受け入れていないという誓約を3カ月ごとに求める計画。
ゴールドマンの担当者はコメントを控えた。
PEファンドには、現場研修を始めたばかりの若手バンカーに転職を働きかける「オンサイクル採用」と呼ばれる慣行がある。中には、アナリスト研修が始まる前の段階で接触してくるファンドもあり、業界の緊張を高めている。
JPモルガン・チェースは先月、入行予定の新卒者に対し、勤務開始から1年半以内に他社の内定を受けていることが発覚した場合は解雇する方針を伝えた。

人材争奪戦は銀行に難しい課題を突き付けている。他社に転職した元行員との関係を良好に保つことも重要なためだ。特にゴールドマンは、強固な同窓ネットワークの構築で知られ、出戻り人材の「ブーメラン」採用も珍しくない。
しかし、研修中の若手が密かに他社に将来の入社を約束していた場合、利益相反が生じる可能性がある。ジュニアバンカーはしばしば、銀行が検討中または準備中の案件に関する機密性の高い情報にアクセスできる立場にある。そうした情報が他社にとって大きな価値を持つ場合もある。
JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)も昨年9月、この点を指摘。オンサイクル採用を非倫理的だと非難し、その慣行を根絶する考えも示した。
ジョージタウン大学での講演で、こうしたやり方は「若者を非常に難しい立場に追い込む。だから間違っていると思う」と述べ、「既に別の会社で働こうと考えているのに、機密性の高い情報を扱っている」ため、企業側にとっても大きな問題だと指摘した。
原題:Goldman Asks Analysts to Swear They Haven’t Lined Up PE Jobs (2)(抜粋)
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