分析結果
自分自身の体型に対する認識
▼対象者のBMIと、自分の体型に対する認識:
まず、この調査における対象者の性・年齢群別BMI区分(図表1)と、自分の体型に対する認識を尋ねた結果(図表2)を示す。本稿では、安定した結果を得るため、2021年~2025年の計5年分の調査の結果をプールしたデータのうち、BMIが取得可能なものを使った。
日本肥満学会では、18.5未満を「やせ(低体重)」、18.5以上25未満を「普通体重」、25以上を「肥満」としている。一方、厚生労働省ではBMIが22を、肥満との関連が強い糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)に最もかかりにくい数値として標準体重としていることから、本稿では、BMIが18.5以上25未満の普通体重を22を境として2つに分け、(1)18.5未満、(2)18.5以上22未満、(3)22以上25未満、(4)25以上の4区分とした。
自分自身の体型に対する認識は、自分について「肥満である」または「やせている」に当てはまるかどうかを尋ねた結果とした。調査では、「肥満である」「やせている」の両方を同時に選ぶことはできず、いずれも選ばなかった場合を「ふつう」と考えているとみなした。
その結果、BMI区分は、男女とも概ね年齢が高いほどBMIが高い区分の割合が高く、年齢が低いほどBMIが低い区分の割合が高い傾向があった。男女を比較すると、男性の方がBMIが高い区分の割合が高く、BMIが18.5未満の割合は女性が男性を大幅に上回った。自分の体型に対する認識は、男女とも、「肥満」の割合は年齢が高いほど高く、男女とも18~34歳で1割程度、55歳以上で2割程度と、男女の差は小さい。「やせ」の割合は男性はBMI区分の(1)BMI<18.5と同じく年齢が低いほど高かったが、女性はBMI<18.5とは異なり、年齢が低いほど低い傾向があった。
このように、18~34歳の女性はBMIでは18.5未満の「やせ」が他年代の女性と比べて最も高かったが、自分の体型を「やせている」と考えている割合は他年代の女性と比べて最も低かった。
▼BMI区分別の自分の体型に対する認識:
続いて、性・年齢群別に、BMI区分別の自分の体型に対する認識を示す(図表3)。
まず、現在のBMIが(1)18.5未満の人についてみる。一般に、「やせ」に分類されるとおり、自分を「肥満」と考えている人は、男女ともすべての年齢群でほとんどいない。「やせ」と考えている割合は、男女とも若いほど低く、若年ほど「ふつう」と考える傾向があった。全年齢群で女性は男性よりも低く、女性の方が「ふつう」と考えており、18~34歳の女性ではおよそ7割が「ふつう」と認識している。
つづいて、BMIが(2)18.5以上22未満である人についてみる。この区分は、一般には、「普通(やせ気味)」である。今回の結果でも「肥満」と考えている人は5%未満と低く、「ふつう」と考えている割合が(1)18.5未満と比べて大幅に増え8~9割にのぼった。年齢別にみると、男女とも若いほど「ふつう」と考えていて、女性が男性よりも「ふつう」と考える傾向がある点は(1)18.5未満と同様だった。
次に、(3)BMIが22以上25未満である人についてみると、「肥満」と考えている割合が高くなってくる。男性では年齢によらず1割程度で、女性は男性と比べて高く一番低い18~34歳で20%、一番高い55歳以上で27.7%と年齢が高いほど高かった。「やせ」と考えている人はほとんどいない。
最後に、(4)BMIが25以上である人についてみると、他区分と比べて「肥満」が大幅に高い。年齢別にみると、男女とも18~34歳で低く、35歳以上は年齢よらず18~34歳より高い。女性が男性よりも「肥満」と考えている割合が高い。逆に言えば、BMIが25以上であっても、男性の4割程度は、「ふつう」と考えていた。
これらの結果、BMIが低くても「ふつう」と思う傾向は、18~34歳や女性、特に18~34歳女性に多い傾向があるが、BMIが低いのに「太っている」と思ってしまうといった認識の大きな乖離は少ないと考えられる。
男女で差があったのは18.5以上25未満のいわゆる「ふつう」の評価で、18.5以上22未満で、女性は「ふつう」と考え、22以上25未満で、男性が「ふつう」と考える傾向があった。
