要旨
日本の女性、特に若年女性は、やせている人の割合が高いことや、その割合が継続的に上昇していることが、他国と比較しても顕著な特徴となっている。4月に日本肥満学会が公表した「閉経前までの成人女性における低体重や低栄養による健康課題―新たな症候群の確立について―」によると、主な原因の1つに、メディア等の影響により、「痩せ=美」という価値観が浸透し、特に若年女性において、食事摂取制限を中心とした減量行動の志向が強まっていることや、現代の親世代を含む成人の多くが、理想体重を痩せた体型に偏って認識している実態が指摘されている。
そこで、本稿では、ニッセイ基礎研究所が行っている「被用者の働き方と健康に関する調査」の結果を使って、若年女性だけでなく、男性や中高年女性を含めてBMIと自分の体型に対する認識の実態について、男女や年齢による特徴を紹介する。
はじめに
日本肥満学会は、「閉経前までの成人女性における低体重や低栄養による健康課題―新たな症候群の確立について―」で、成人女性における低体重や低栄養に関連する健康障害を、「低体重・低栄養症候群(FUS:Female Underweight/Undernutrition Syndrome)」として新たな疾患として位置付け、早期発見・予防・介入の枠組みを構築することを目的として、診断基準や予防指針の整備などに取り組むことを公表した。
「日本女性の"やせ"の特徴」で紹介したとおり、日本の女性、特に若年女性は、やせ(BMIが18.5kg/m2未満。以下、単位の表記は省略する。)の割合が高いことや、継続的にやせている人の割合が上昇していることが、他国と比較しても顕著な特徴となっている。上記資料によると、FUSの主な原因として、「生来の体質による体質性痩せ」「SNS、ファッション誌などのメディアの影響によるやせ志向」「社会経済的要因・貧困などによる低栄養」の3つの視点があるとされている。
このうち、「メディアの影響によるやせ志向」とは、メディア等の影響により、「痩せ=美」という価値観が浸透し、特に若年女性において、食事摂取制限を中心とした減量行動(いわゆるダイエット)の志向が強まっており、現代の親世代を含む成人の多くが、理想体重を痩せた体型に偏って認識している実態が指摘されている。
そこで、本稿では、ニッセイ基礎研究所が行っている「被用者の働き方と健康に関する調査」の結果を使って、若年女性だけでなく、男性や中高年女性を含めてBMIと自分の体型に対する認識の実態について、男女や年齢による特徴を紹介する。
なお、本調査は、全国の18~64歳の被用者(公務員もしくは会社に雇用されている人)の男女を対象としてインターネットで行った調査であることから、国全体の状況とは異なる可能性がある。