6月4日~17日、秋篠宮家の次女・佳子さまがブラジルを公式訪問された。日本との「外交関係樹立130周年」を記念してのものだ。移動を含め2週間、8都市をまわる日程。海外公務だけあって慣れない段取りもあったが、日本と異なる状況だからこそ、佳子さまらしい“庶民的”な振る舞いや、相手を思う心づかいが随所に見られた。両手での握手、子どもを優しく抱きしめる…フレンドリーとも言える「なさりよう」に現地からは喜びの声が上がった。

秋篠宮邸にはブラジル国花 家族で繋がり長い“アミーゴ”

記念式典やルラ大統領表敬では、艶やかな空色の和装姿。これはかつて姉・眞子さんが着ていたもので、のちに妹の佳子さまに受け継がれた。その後、佳子さまは誕生日などの際にも着られている。秋篠宮家の家紋「菊栂(きくつが)」が施されていて、家族を繋ぐ大切な振袖だ。

佳子さまは、記念式典で「両親や姉もブラジルを訪れ、心温まるお迎えをいただいたことを、大切な思い出として持ち続けています」と話したほか、秋篠宮家の庭でブラジル国花「イペー」を長く育てていることにも触れられた。

秋篠宮家は2005年以降、家族全員でブラジルから訪日した学生らと定期的に懇談されるなど、ブラジルとの関係が深い(佳子さまも小学生の頃から欠かさずその場に参加されている)。一家でブラジルとの縁をとても大切に思われてきたという。佳子さま自身もあいさつの中で「子どものころより親しみを感じてきました。いつかブラジルを訪れたいと願っておりましたので、今回訪問が叶いましたことを大変嬉しく思います」とした上で、ブラジルのことを「大切な友人アミーゴ」と表現された。

▲外交関係のスタートは、130年前に批准された条約から。佳子さまは、ブラジル外務省の施設でこの批准書を眺められた。そこには、先祖である明治天皇と陸奥宗光外相の名が記されている。

海外公務ならではの珍しい場面も

サンパウロの「松柏・大志万学園」(2歳~16歳の生徒が通う学校)では、日本の皇室取材では滅多に見ることがない場面を目にした。

校舎内では、生徒や保護者らが佳子さまを歓迎するため、手作りお菓子を作って待っていた。佳子さまはまず、生徒からずらりと並べられたお菓子についての説明を日本語で受けられた。

生徒
「外はカリカリ、中はモチモチ。ぜひ召し上がってください」
佳子さま
「トウモロコシでできてるんですね。おいしそう」

佳子さまは生徒から「ぜひ試食をどうぞ」と勧められた。すると、カメラ撮影が終わったあと、佳子さまはタピオカとチーズを混ぜて揚げた「揚げタピオカ」を手に取り、嬉しそうに口にされたのだ。皇族が、一般人や記者の前で食べ物を口にすることは滅多にない。映像でも見たことがないという人が多いだろう。たとえば宮中行事である「晩さん会」など、記者が食事の場を取材する機会はあるものの、取材設定は大抵「乾杯までで終わり」など、食べ物を口に運ぶ場面に立ち会えることは滅多にない。関係者によれば「『食べる』というのはプライベートな行為なので、伝統的に、一般に見られる公務の範囲から厳に切り離すことが多いのではないか」という考えもある。

そうした中、佳子さまは「揚げタピオカ」を頬張り「おいしいです!」と大きな声で話された。その瞬間、現地の生徒たちから大きな歓声が上がった。佳子さまは、心をこめて作ってくれた生徒たちの気持ちに応えるために、その場で口にされたのではないだろうか。

その後も、「ゆでた松の実」「トウモロコシのプリン」など4種類の手作りお菓子を笑顔で楽しまれた。そして最後、お別れの時には。

佳子さま
「皆さんのお菓子、本当においしかったです!お土産にも持たせて頂いたので、帰ってゆっくりいただきますね」
生徒
※歓声と大きな拍手

マエドノシルバ川村真由実 校長
「佳子さまは『どれがおすすめですか』って生徒に何度もお聞きになっていました。タピオカはもちもちしていて、口の中が渇いたかもしれません(笑)」
「今回のご訪問が2月に決まってから、学校みんなで一生懸命準備をしてきた。私たちの気持ちに応えてくれたことが嬉しかった」

日本だと滅多に見られない場面。生徒たちみんなが嬉しそうで、その場がとても幸せな雰囲気に包まれたのが印象的だった。今回の訪問のハイライトの1つと言える。

▲日系人の小学生との交流も。ある場面では、生徒に「佳子っていいます。私の名前を書いてもいいですか」と声をかけ、生徒のプリントに直筆で「かこ」と書かれた。これもあまり見られないシーンだ。