企業施策への示唆

企業における多様性推進の視点でみると、女性の管理職や役員への登用は、女性労働者自身の待遇面での改善や働き方の選択肢を広げる役割のほか、女性活躍をめぐる評価やダイバーシティの推進によって経営の多様性を高める役割がある。

一般に、経営層に携わるには、ある程度の期間にわたって所属していたり、一定のマネジメント経験がある方が、社内において納得感があると思われるが、最近では、管理職という役職は「組織の意思決定層への通過点」である一方で、「現場の負担が集中する役職」にもなっており、負担が指摘されている。

負担が大きいことや、負担が大きいことで、管理職の役割が担えないことが、管理職を敬遠する要因となっているのであれば、管理職を取り巻く職場環境や役割の再構築が必要となるだろう。

また、本稿で見たとおり、男女問わず、仕事面でのスキル向上への関心は高まっている。経営層の多様化を目指すことに立ち返れば、「管理職を経て経営に携わる」というキャリアコースだけでなく、専門性や実務経験を生かして経営に関与する道を整備することも考え得る。

これにより、女性や専門職など多様なバックグラウンドを持つ人材が意思決定に参加できるようになり、組織のガバナンス強化にもつながるのではないだろうか。

(※なお、記事内の注記については掲載の都合上あらかじめ削除させていただいております。ご了承ください)

(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子)