受診行動と受診理由
外来患者の約3割は「自覚症状なし」
資料によれば、外来患者が調査日に受診した病気や症状において、初めて医師の診察を受けた際に「自覚症状があった」と回答した割合は2023年で約66%、「自覚症状がなかった」は約28%であった。
これは、3〜4人に1人が無症状で受診しているという実態を示している。
また年次推移をみると、自覚症状があった患者の割合は減少する一方、自覚症状がなかった患者の割合は増加傾向にある。
自覚症状がなかったが受診した理由~健診が最大のきっかけに
次に、資料で「自覚症状がなかった」と回答した人に対し、病院を受診した主な理由を尋ねたところ、「健康診断(人間ドックを含む)で指摘された」が最も多く、次いで「他の医療機関等で受診をすすめられた」との結果であった。
さらに、年次推移を見ると、「健康診断(人間ドックを含む)で指摘された」という回答は5割近くにまで増加している。
こうした結果から、健診(人間ドックを含む)時の検査値異常等に伴う精密検査や再検査の勧奨、および他の医療機関等での検査や医師の他覚的所見等によって受診が促されたものと考えられる。
つまり、「自覚症状がなかった」場合の病院への受診行動において、健診(人間ドックを含む)が極めて有力なきっかけとなっているといえよう。
一方で、国民の健康状態把握に不可欠な健診の受診率は依然として課題を抱える。
厚生労働省の統計調査によると、20歳以上(入院者を除く)で、過去1年間に健診や人間ドックを受診した人の割合は69.6%(2019年)である。
また、40歳以上74歳以下の医療保険加入者が対象となる「特定健康診査」(いわゆる「メタボ健診」)を受診した人の割合は59.9%(2023年度)に留まっている。
これは、国民のおよそ3割から4割が健診を受診していないことを意味する。