トランプ米大統領はアジア歴訪に当たり、貿易相手との間で経済協定や重要鉱物に関する合意を締結することを目指す。米政府高官が明らかにした。米政権はトランプ氏と中国の習近平国家主席との首脳会談を前に同国への圧力を強化する構えだ。

トランプ氏は地域の資源を活用して産業界の一段と安定したサプライチェーンを構築し、世界経済の成長に寄与するとともに、米国への投資拡大を確保するディール(取引)を目指している。大統領の出発に先立ち、米政府高官が24日に記者団に説明した。トランプ氏が目指す具体的な合意内容については明らかにしなかった。

トランプ氏は今回の歴訪で、マレーシアで開催の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合に出席後、日本を訪問し、韓国でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に臨む予定。行程の締めくくりとしてトランプ、習両氏の会談が予定されており、世界の2大経済大国の首脳が関税や輸出規制を巡る対立の解消を図る機会となる見通しだ。

マレーシアのザフルル投資貿易産業相は25日、ブルームバーグテレビジョンに対し、米国との間で重要鉱物に関する合意取りまとめの可能性を協議していることを明らかにした。

テクノロジーや防衛、エネルギーなど重要産業に不可欠なレアアース(希土類)資源の流れが今回の協議の中心的な議題となる。中国は米国との間で繰り広げる報復的な貿易規制の一環として、レアアースやその他の重要鉱物の輸出規制を一段と強化した。こうした金属のサプライチェーンを中国が握っていることは、習氏にとって重要な切り札となっている。

これに対しトランプ氏は、中国が一連の規制を撤回しない場合、11月1日から中国からの輸入品に100%の追加関税を課すと警告している。

トランプ氏はまた、米産業を保護するため、重要鉱物の採掘や精製の代替供給源を確保する動きも進めている。20日には、オーストラリアのアルバニージー首相と重要鉱物への米国のアクセス拡大を目的とした合意書に署名した。

習氏との会談を前に、トランプ氏は自らの交渉力を強化する姿勢も示している。米政府は24日、トランプ政権1期目に結んだ第1段階の貿易合意を中国が順守しているかどうか、調査すると発表した。これにより、中国にさらなる関税を賦課する余地が広がることになる。

トランプ氏はこのほか、中国による米国産大豆の購入再開や合成麻薬フェンタニルの密輸取り締まり強化、ロシアのプーチン大統領に対しウクライナでの戦争終結を促すよう圧力をかけることも習氏に求める考えだ。

トランプ氏は今回の歴訪で、高市早苗首相や韓国の李在明大統領との個別会談も予定している。

原題:Trump to Sign Mineral Deals in Asia to Raise Pressure on Xi (1)(抜粋)

(マレーシアのザフルル投資貿易産業相の発言を追加して更新します)

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