(ブルームバーグ):イーロン・マスク氏によるツイッター(現在のX)買収を2022年に支援したベテランのテクノロジー投資銀行バンカー、マイケル・グライムズ氏は、米商務省の新たな役職に就くに当たり、最大9800万ドル(約142億円)相当の資産の内訳を公開した。
マスク氏の協力者の1人としてトランプ政権に参加したグライムズ氏は、モルガン・スタンレーで約30年勤務し、マネジングディレクターとグローバルテクノロジー投資銀行の共同責任者を務めた。
同行から得た6700万ドル近い収入には、2月の退職後に確定した制限付き株式ユニット(RSU)の売却代金5600万ドルが含まれる。モルガン・スタンレーの株式を同氏は今は保有していない。
グライムズ氏は全体で約150件の資産売却を報告したが、商務省での職務開始後の取引が大部分を占める。

メタ・プラットフォームズとウーバー・テクノロジーズの新規株式公開(IPO)にもグライムズ氏(58)は関与した。10億ドル以上の対米投資を目指す外国投資家の規制障壁緩和を目的にトランプ大統領が設立した「米国投資アクセラレーター」で、エグゼクティブディレクターを務める。5月に棚上げとなった政府系ファンドも主導する予定だった。
グライムズ氏はモルガン・スタンレーのファンドを通じて、スペースX株(10万1-25万ドル相当)、軍事・防衛分野の新興企業アンドゥリル・インダストリーズ株(5万1-10万ドル相当)を保有していたが、3月12日に手放した。さらにウーバー株少なくとも100万ドル相当をフィデリティ・インベストメンツのドナーアドバイスファンドに寄付しており、慈善目的の活用を想定する。
グライムズ氏の資産公開は、トランプ政権とシリコンバレーとの結び付きを改めて浮き彫りにした。資産家のピーター・ティール氏やマーク・アンドリーセン氏に関係する企業の出身者も何人か政権入りする。
ビッグデータ解析を手掛けるパランティア・テクノロジーズの顧問を務めたジェイコブ・ヘルバーグ氏は、国務次官に起用される予定だ。人工知能(AI)と防衛、フィンテック関連企業数十社への投資を同氏は継続するという。
原題:Musk’s Tech Banker Grimes Sells SpaceX, Anduril for Trump Role(抜粋)
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