写真・動画共有アプリ「スナップチャット」を運営するスナップは来年、一般消費者向けでは同社初の拡張現実(AR)スマートグラス(眼鏡型端末)を発売する計画だ。競合するメタ・プラットフォームズよりも数カ月早い市場投入となる。

スナップの10日発表によると、「Specs」と名付けられたスマートグラスは、ソフトウエアの開発者向けに昨年販売された「Spectacles」の小型・軽量版。スナップのOSが内蔵され、手の動きで操作できるのが特徴だ。

スナップは長年にわたりスマートグラスの開発を進めてきたが、これまでのモデルはARよりも写真や動画撮影の機能に注力していた。

「レイバン」ブランドのスマートグラスで成功している競合のメタ社は、27年に「Artemis」というコードネームのARスマートグラスを発売予定。競争が激化する中で、消費者向け製品で前進することがスナップにとって緊急性を帯びた。

エバン・スピーゲル最高経営責任者(CEO)はインタビューで、価格やハードウエアの詳細を明かさなかったが、アップルのヘッドセット「Vision Pro」(3499ドル=約50万円)よりも安くなると述べた。また、製品は当初ブラック一色だが、その後は別バージョンも続くだろうと語った。

人工知能(AI)アシスタント機能を備え、友人とのゲームや、ネット検索や動画のストリーミング再生も可能だとしてスピーゲル氏は、「スマートフォンでは実現できない機能を持つスマートグラスの開発に注力し投資を行っている」と付け加えた。

SpecsにはオープンAIやグーグルなどのAIモデルが組み込まれる。また、開発者向けモデルで提供しているのと同様に、AIによるテキスト翻訳や為替換算、冷蔵庫に入っている食材に応じたレシピ提案の機能も備える。

一方、テクノロジー業界が直面しているAIとプライバシーを巡る懸念については「年齢やユーザー層にかかわらず、プライバシーは当社やデバイスの未来にとって極めて重要だ」と語り、ユーザーのデータ保護とデバイスの機能のバランスをとっていくとしている。

原題:Snap’s First Consumer AR ‘Specs’ Glasses Will Arrive in 2026(抜粋)

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