人工知能(AI)の急速な進歩によって、1カ月先の状況を予測することさえ難しくなっている。急成長するAI産業への資金提供に必要な適応力を持つプライベートクレジット(ファンドなどによる融資)にとっては、そうした不確実性が好機になるとアポロ・グローバル・マネジメントの幹部が指摘した。

同社の資産運用部門共同プレジデントを務めるジョン・ジト氏は3日、「ハイパースケーラー(大規模クラウドサービス事業者)や送電事業者、電力会社に対し、柔軟な条件で期間15-20年のローンを引き受けることができる点について、プライベートクレジット分野で十分議論されていない」との見方を示した。ニューヨークで開催されたムーディーズ・クレジット・フロンティアーズ2025会議のパネルディスカッションで語った。

ジョン・ジト氏

大規模データセンターなどのインフラ構築のため、プライベートキャピタルを活用するテクノロジー企業は多い。メタ・プラットフォームズは米国内でのデータセンター開発のため、数十億ドル規模の資金調達を計画しており、アポロやKKRが投資家候補とされている。

AIを巡る需要を満たすため、向こう5年間で1兆8000億ドル(約260兆円)余りが必要になるとの試算もある。一方でブームが崩壊に至り、先端AIを手掛ける一部借り手が債務を返済できなくなる恐れがあるといった見方も出ている。

「コンピューティングには長期で拘束性のある資本が必要で、それは米国に限った話ではない」とジト氏は指摘。「欧州では、政府のバランスシートをレバレッジで拡大したくないといった考えがあり、民間資本が必要になるだろう」と話した。

原題:Apollo’s Zito Sees AI Boom Powering Private Credit Growth (1)(抜粋)

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