コメの店頭価格は2倍に急騰、家計への負担は深刻に
最近、スーパーマーケットなどでコメの店頭価格が顕著に値上がりしていることを実感している読者も多いだろう。
農林水産省がPOSデータに基づき作成した資料によると、令和7年5月5日の週の全国スーパーでのコメの平均販売価格は5kgあたり4,268円と、前年同期比で大幅な上昇を示しており(対前年同期+102.5%、前週比+1.3%)、家計への負担増は明らかである。
こうした状況に対し、政府は価格の急騰を抑えるため、備蓄米の放出を継続的に実施している。
こうした店頭価格上昇の背景には、まず国内のコメ生産量の減少がある。農家の高齢化や後継者不足により、田んぼの作付面積が減り続けている。
また、近年の夏の猛暑や集中豪雨といった異常気象の頻発が、コメの収穫量や品質に悪影響を与えていることも、店頭価格を押し上げる要因となっている。
さらに、ガソリン代や電気代、肥料や農薬といった農業に必要なものの値段が上がっていることも、消費者が支払う店頭価格に影響している。
加えて、円安により外国から輸入される飼料や農業資材の価格が上昇していることも、間接的に国内のコメの店頭価格に影響を与えていると考えられる。
本レポートでは、最新のAI技術を用い、政府による備蓄米放出の効果も考慮に入れながら、今後、消費者が購入するコメの店頭価格がどのように変動するのかを複数のシナリオで予測し、私たちの食生活や家計にどのような影響が及ぶのかを考察する。
AIで2025年~2027年のコメ店頭価格を予測してみる
本分析では、過去のコメ店頭価格、気象データ、作付面積、生産コスト、政府の市場介入(備蓄米放出等)、国際穀物市場の動向などをAIに学習させ、2025年から2027年のコメ店頭価格(5kg袋)を予測した。AIは、主に夏の天候、国内作付面積の変化、政府による需給調整策(特に備蓄米放出)、他主食の価格動向が影響すると分析し、以下の3つのシナリオを提示した。
この比較表からは、標準シナリオでの価格高止まりが最も高確率であること、また価格高騰シナリオでは6,300円以上の急騰が想定されていることが読み取れる。