豪シドニーのボンダイビーチで14日起きた襲撃事件で、銃撃犯の1人に飛びかかり銃を奪い取った一般市民の行動が、トランプ米大統領やヘッジファンドの富豪ビル・アックマン氏ら、世界中の指導者たちから称賛を浴びている。アックマン氏はコミュニティーの英雄をたたえる褒賞プログラムの創設も発表した。

この市民の行動を捉えた衝撃的な映像は、ユダヤ教の祝祭「ハヌカ」の初日を祝う群衆に父子の銃撃犯2人が発砲した事件の直後、SNS上で拡散された。この事件はオーストラリア史上最悪級のテロ攻撃となり、容疑者1人を含む16人の死亡が確認された。

Photographer: Saeed Khan/AFP/Getty Images

携帯電話で撮影された映像には、銃撃犯の1人が木のそばで発砲している様子が映っている。数メートル離れた場所で、かがんでいた男性が駐車中の車の陰から飛び出し、背後から銃撃犯に飛びかかって銃を奪い取る姿が記録されていた。映像の真偽はブルームバーグ・ニュースでは未検証だ。

地元メディアによれば、この市民はアフメド・エル・アフメド氏。シドニー南部在住の43歳で2児の父と報じられている。同氏は2発撃たれ、現在入院治療中とされる。

アフメド氏の勇気ある行動はすぐに称賛の対象となった。トランプ氏はホワイトハウスで、アフメド氏は多くの命を救ったと述べ、「大いなる敬意」を表明した。

シドニーでは、ニューサウスウェールズ州のミンズ州首相が、アフメド氏の銃撃犯との格闘について「私が今まで見た中で最も信じられない光景だ」と指摘。ミンズ氏は14日夜の記者会見で、「あの男性は本物の英雄だ。彼の勇気のおかげで、多くの人々の命が今夜、救われたのは間違いない」と述べた。

アルバニージー首相もアフメド氏を称賛し、銃撃直後に負傷者の救護に当たった他の市民たちの行動にも敬意を表した。

「危険に向かって駆けつける行為はオーストラリア人の持つ最良の資質を体現している」とし、「それこそが、自らの価値を守るために立ち上がるわれわれの真の姿だ」とアルバニージー氏は15日、記者団に語った。

ヘッジファンド運営会社パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメント創業者のアックマン氏は、アフメド氏を「勇敢な英雄」と呼び、同様の行動を取った人々に褒賞を与えるプログラムを自身のヘッジファンドで創設すると発表した。

銃撃犯に立ち向かった「英雄」のために開設されたホームページ「gofundme」では、最大の寄付者としてウィリアム(ビル)・アックマン氏の名が記載されており、9万9999ドル(約1560万円)を寄付している。これまでに集まった寄付総額は17万ドルを超えている。

ソフトウエア大手の米セールスフォース創業者、マーク・ベニオフ最高経営責任者(CEO)も、X(旧ツイッター)への投稿でアフメド氏への感謝の意を表した。

原題:Hero Bystander Who Tackled Bondi Gunman Praised by Trump, Ackman(抜粋)

--取材協力:Nasteho Said.

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