年金改革法案 なぜ“骨抜き”?

藤森キャスター:
就職氷河期世代は、▼非正規雇用や▼厚生年金の未加入機関が長い、または入ったことがない人が多く、国民年金への依存度が高い環境にあります。
そのため、この状況を何とかしようと、厚生年金の積み立て分を国民年金(基礎年金)にあてがうことで底上げを図ろうと考えていました。
しかし、今回この底上げ案を削除して、16日に国会に提出される見通しになりました。
なぜ「国民年金底上げ」の案を削除したのでしょうか。

ジャーナリストの星浩さんは、「夏の参議院選挙が理由。元の案は、厚生年金を国民年金に流用する内容だったが、無党派層の多い会社員からの批判を警戒した」といいます。
小川キャスター:
目の前の選挙を意識して、批判を避けるために改革を決められなかったことになりますね。

現役保育士 てぃ先生:
常に先延ばしだと感じますし、特にこの年金の問題は、制度の破綻というよりも国民と政府の間での信頼の破綻が進んでいるという印象があります。
現役世代に高いお金を納めることで、老後安定して暮らせるという保障があると思って頑張っていたのにもかかわらず、蓋を開けてみたら保障はされず、不安を押しつけられるだけであれば、信用はできなくなってしまいます。
私は保育士なので、保護者の方と話していると、「自分の子どもたちが大人になる頃に年金はあるのか」「そもそも正規雇用というかたちさえも残っているのか」といった話で盛り上がるほど、不安に思ってらっしゃる方は多いです。
結局は政治家が選挙に勝てないから、改革をしないことになりますよね。しかし、それは言い換えると、どの世代も痛みを受け入れたくないから、政治家も動けないという側面もあるのかなと思います。
なぜ、私たちが痛みを伴わなければならないのかという思いはありますが、どこかで覚悟を決めるしか進む道がないのかなという印象もあります。
小川キャスター:
その痛みも含めて説明をして、丁寧に国民に向き合っていくことも政治の責任ですよね。
藤森キャスター:
「国民年金の底上げ」を削除した案、政府が16日提出する見通しです。与党だけではなく野党も、覚悟を示して議論をして、わかりやすく数字で示してもらう必要がありますね。