結果の概要:雇用者数が市場予想を下回った一方、失業率は市場予想に一致
9月5日、米国労働統計局(BLS)は8月の雇用統計を発表した。
非農業部門雇用者数は、前月対比で+2.2万人の増加(前月改定値:+7.9万人)と+7.3万人から上方修正された前月、市場予想の+7.5万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)を大幅に下回った。
失業率は4.3%(前月:4.2%、市場予想:4.3%)と前月から+0.1%ポイント上昇した一方、市場予想に一致した。
労働参加率は62.3%(前月:62.2%、市場予想:62.2%)とこちらは前月から+0.1%ポイント上昇し、横這いを見込んだ市場予想を上回った。
結果の評価:非農業部門雇用者数の伸びが5月以降に大幅鈍化したことを確認
事業所調査の非農業部門雇用者数(前月比)は8月が市場予想を下回ったほか、後述するように過去2ヵ月分が▲2.1万人下方修正された。この結果、過去3ヵ月の月間平均増加ペースは僅か+2.9万人となった。
これは、25年初から4月までの月間平均増加ペースの+12.3万人、24年5月〜25年4月の同+15.0万人からの大幅な鈍化を示す。
また、家計調査は労働参加率が横這い予想に反し前月から改善を示したものの、失業率が4.3%と24年5月以降にみられた4.0%〜4.2%のレンジを遂に上抜けした。
一方、時間当たり賃金(全雇用者ベース)は、前月比+0.3%(前月:+0.3%、市場予想:+0.3%)と前月、市場予想に一致した。
前年同月比は+3.7%(前月:+3.9%、市場予想:+3.8%)とこちらは前月、市場予想を下回った。
このようにみると、8月の雇用統計は非農業部門雇用者数が25年5月以降に伸びが大幅に鈍化したほか、失業率が24年5月以降のレンジを上抜けするなど、事業所調査、家計調査ともに労働市場の減速を顕著に示す結果となった。
足元のインフレ率は関税の影響もあって上昇に転じているものの、7月と8月の雇用統計で労働市場の大幅な減速が確認されたことで9月16日~17日に行われるFOMC会合で利下げ再開が確実になったと言えよう。