3メガバンクグループの今期(2026年3月期)の連結純利益合計は、4兆2400億円と3期連続で過去最高を更新する見込みだ。トランプ米政権の経済政策による先行き不透明感はあるものの、日本銀行による利上げ効果や政策保有株の売却益などにより、好調を維持する。

各社が15日までに発表した純利益予想の合計は前期(25年3月期)実績3兆9263億円に比べ8%の増益となる。個別では三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が同7.4%増の2兆円、三井住友フィナンシャルグループが同10%増の1兆3000億円、みずほフィナンシャルグループが同6.1%増の9400億円。

3社とも過去最高を更新する。MUFGと三井住友FGは3期連続、みずほFGは2期連続となる。今期はトランプ米大統領の関税措置などが世界経済に与える影響が銀行収益のマイナス要因となりそうだが、それを上回る利益の拡大を見込む。

トランプ関税

MUFGの亀澤宏規社長は、米関税措置の影響と今期予想について、「不確実性は高いが、主要国の交渉が進展することを前提に作っている」としながらも、「日本経済は年後半には下押しする。減速するとみている」と述べた。

三井住友FGでは円高や長期金利低下、アジア経済の減速、国内の企業の活動停滞などにより、今期純利益で1000億円程度のマイナス影響を見込んでいる。

みずほFGの木原正裕社長は、今期の業績予想について「3月の中旬ぐらいの計画では1兆500億円」程度だったが、4月に入りトランプ関税政策で不確実性が高まってきたため、その影響額を1100億円と見込み9400億円に減額したと明かした。

それでも好業績を維持できる背景には、日銀の利上げがある。米経済政策の影響も勘案し、3グループとも今期予想の前提は0.5%に据え置いたが、「金利ある世界」が着実に銀行収益を下支えする。MUFGでは政策金利が0.25%上昇すれば、資金収益ベースで年間1000億円程度のプラス効果があると見込んでいる。

政策保有株

政策保有株の売却益も引き続きプラス要因となる。資本効率改善の観点から加速している株式持ち合いの解消はこの先数年は続きそうだ。 前期はMUFGで6029億円、三井住友FGで4850億円、みずほFGでは約2000億円の売却益があった。

ただ、三井住友FGの中島達社長は、政策株の売却益は中長期的には減っていくため、「これを補ってボトムライン成長を毎年しっかり作る」として、成長戦略などの施策について「今年やるべきことだ」と危機感を表した。MUFGでは強みとするプロジェクトファイナンスや、米モルガン・スタンレーと協業する投資銀行ビジネスの強化などを進める。

3メガ銀は、キャッシュレス決済やポイント特典を軸とした異業種と連携を含めたリテールビジネス強化に加え、海外ではアジアで金融機関に出資するなど収益源の多様化を進めている。地政学リスクを乗り越え、投資額以上の収益を得られるか、各行の経営陣は難しいかじ取りを迫られている。

(社長コメントなどを追加して記事を更新します)

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