(ブルームバーグ):ジャパンディスプレイは15日、国内で1500人規模の希望退職を実施すると発表した。官民ファンドの後押しを受け、ソニー(現ソニーグループ)、東芝、日立製作所の部門が統合した「日の丸液晶」企業は経営再建への道筋を見いだせずにいる。
同社の発表によると、1500人は3月末時点の国内従業員数の6割弱にあたる。スコット・キャロン会長兼最高経営責任者(CEO)は15日の決算会見で、「コスト構造が依然高く、身の丈にあっていない状況」で、海外でも同程度の比率で人員削減を検討していると明かした。同氏は業績不振に対する責任を取るとして5月末で辞任する。
ジャパンディスプレイは2012年に産業革新機構(当時)が2000億円を出資して設立された。11年の基本合意書締結の発表文では、業界トップ企業としての地位を強固にすると意気込んでいたが、高いコスト競争力を持つ中韓勢に押され、18年3月期以降はずっと営業赤字が続き、15日の終値は16円と14年上場時の初値に比べて約48分の1になっていた。
同社の経営不振は、生産に大きな投資が必要な資本集約型産業に対する公的支援の難しさを浮かび上がらせる。斎藤健・前経済産業相はJDIをはじめとするディスプレー産業への支援では、期待された効果が必ずしも上がっていないと昨年述べていた。
キャロン氏は、液晶業界には想定以上に構造的な赤字体質があったと説明。日の丸ディスプレーの復活は不可能なのかという質問に対して、「日本の技術力を投資額で勝負するような業界に投入するのは正しいかというと個人的にはそうは思わない」と述べた。
同氏は、JDIの筆頭株主の投資顧問いちごアセットマネジメント創業者で、20年に会長に就任し、その後CEOに就いていた。
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