香港の金融業界では、投資銀行部門の雇用に回復の兆しが見られている。新規株式公開(IPO)が再び活気づく中、投資業務のライセンスを取得した金融プロフェッショナルの数が増加傾向にある。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の分析によると、インベストメントバンカーの雇用情勢は改善しており、2月の雇用者数は2023年末の水準から0.5%増加した。香港証券先物委員会(SFC)のデータによると、ウェルスマネジメント部門やプライベートバンキング部門、ファミリーオフィスのライセンス取得件数は23年以降、約5%増加している。一方、証券・先物取引では取得件数にほとんど変化はない。

BIのフランシス・チャン・シニアアナリストによると、株式上場は25年に220億ドル(約3兆2100億円)超と倍増する見込みで、ブローカーの事業拡大や以前解雇されたバンカーの再雇用を後押ししているという。

チャン氏はリポートで「香港の金融職の労働市場では、ウェルスマネジメント分野での着実な機会の継続とバンカーの再雇用率の上昇が見込まれる」と指摘。「投資銀行業務や営業・調査を含む法人事業部門における人員削減は、グローバルバンクの間では依然として続いているが、一部のバンカーは拡大する中国企業に新たな機会を見いだしている」と述べた。

今年2月までの1年間で最も多くの人材を採用したのは、中信証券とその子会社の中信里昂証券(CLSA)、招商証券、海通国際証券だったと、ブルームバーグ・ニュースは3月に報道。採用された人材の約40%はUBSまたはクレディ・スイスの元従業員だった。

一方、HSBCホールディングスとスタンダードチャータード、シティグループ、UBSグループ、DBSグループ・ホールディングスは、中国本土の顧客をターゲットに、ウェルスマネジメントやプライベートバンキング部門での採用を増やす可能性があるとBIのリポートは指摘している。

 

BIによると、ライセンスを取得した金融プロフェッショナルは2月時点で4万2254人に達し、昨年末の4万2044人から増加した。SFCのデータを引用している。

香港のプライベートバンカーやウェルスマネジャーは引き続き高い報酬を得ており、この傾向は今後も持続するとみられている。一方、相対的に高いインベストメントバンカー報酬は長続きしない可能性がある。チャン氏は、高水準のウェルスマネジャー報酬が香港をシンガポールや中国本土よりも魅力的な勤務地にしていると述べた。

原題:Hong Kong Investment Banking Jobs Show Signs of Picking Up (1)(抜粋)

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