国民民主党の玉木雄一郎代表は15日、米関税措置を巡る交渉で、日本保有の米国債が償還期限を迎えた場合、従来より長い年限の国債に買い換えることも日本の貢献策として検討すべきだとの考えを示した。

玉木雄一郎氏

ブルームバーグとのインタビューで述べた。玉木氏は、ベッセント米財務長官が国債市場の動向を懸念しているのであれば、満期が来た米国債の再投資の際に、「超長期国債を買うことで長期金利を抑えることに貢献することは、オファーとしてあり得る」と語った。

日本政府は米側との交渉で対米投資拡大などを含めた合意を目指しており、玉木氏の発言は超長期米国債の積極的な買い入れも日本側の交渉材料として米側に提示すべきだとの考えを示したものだ。玉木氏は財務省出身で経済政策を巡り、政府に提言してきた。日本の米国債保有残高は外国勢で最大。米財務省によると、2月時点では1兆1259億ドルと2024年4月以来の高水準となった。

加藤勝信財務相は2日、テレビ番組で、今後の関税交渉の中で米国債を安易に売らないと明言することは日米協議の一つの手段になり得るかどうかを問われ、「カードとしてはあると思う。それを切るのか切らないのか、というのはまた別の判断だ」と発言した。その後の記者会見では同発言について保有する米国債の売却に言及したものではないと説明していた。

野村証券の岩下真理エグゼクティブ金利ストラテジストは、超長期米国債の買い入れについて、貿易交渉の1つの対応策としては理解はできるが、「貿易交渉のツールに本来しない方がいいと思う」と述べた。債券の価格形成は市場に委ねるべきで、人工的に操作したと受け止められると、その反動による変動リスクが高まると述べた。

米国産日本車の逆輸入

米側が問題視する対日貿易赤字に関し、玉木氏は米国で生産した日本車を逆輸入し、米国からの輸出として計上する案も提唱した。大手自動車メーカーからも同様の声を聞いていると指摘。実現すれば米国の輸出拡大に貢献できる上、日本の自動車メーカーの利益増にもつながるとした。

ただ、日米の安全基準の違いが障壁となり米国産の自動車をそのまま輸入することは現行ルールでは困難だとし、国土交通省に柔軟な対応を求めた。米国で生産されたとはいえ、日本メーカーの自動車輸出増でトランプ大統領が納得するかは疑問だとし、プレゼンテーション方法も課題だと述べた。

日本の超長期国債金利の上昇に懸念

国内経済に関し、玉木氏は米国の関税措置による影響で、景気が腰折れする可能性が高まっているとの見方を示した。日本がスタグフレーション(景気停滞下のインフレ)に陥らないような政策が「今一番求められている」と述べた。

そのためには柔軟な財政政策が必要となるが、日本の長期金利の上昇は景気浮揚策の足かせになりかねず、玉木氏は「最近の急速な超長期国債の金利の上昇は非常に心配な面もある」と述べた。急激な動きには一定の対応が必要になる可能性はあると指摘。日本銀行の国債買い入れ減額も「ペースダウンのペースを柔軟に調整していくことが必要だ」と述べた。

赤沢亮正経済再生相は22日も訪米し、ベッセント財務長官らと3回目の閣僚協議を行うと、テレビ朝日が14日報じた。加藤財務相も来週カナダで開かれる主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、ベッセント氏と為替について協議することを検討している。

消費税減税

参院選の公約として掲げる消費税の一律5%への引き下げについて、玉木氏は米国の関税措置により失われた輸出市場を内需で補うためにも「非常に意義がある」と述べた。

消費税は自動車を含む単価の高い商品により大きな減税効果が及ぶため、一律引き下げは関税措置により米国での売り上げが減少する分、国内の受け皿を強化する手だてにもなると主張した。同党は、実質賃金がマイナス圏でとどまるのであれば減税で経済を下支えする必要があるとの方針だ。

都議選や参院選を前に、国民は野党でトップ水準の支持率を維持している。朝日新聞が行った最新の世論調査では、国民の政党支持率は12%と立憲民主党の10%を上回った。

(ストラテジストのコメントを追加しました)

--取材協力:梅川崇、氏兼敬子.

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