(ブルームバーグ):ベッセント米財務長官は6日、連邦債務の上限枠内での借り入れ能力が尽きるまでの「警戒ゾーン」に入っていると改めて述べたが、具体的な時間枠への言及は避けた。
同長官は下院歳出委員会で証言。財務省がすべての債務を期日通りに払えなくなる、いわゆる「Xデー」が近づいていると「われわれが判断すれば、議会に報告する」と、質疑応答で述べた。財務省ではまだ、最新の納税申告に基づく税収を集計しているところだと続けた。

米連邦債務の法定上限は1月初めに適用が再開された。米財務省は特別会計措置を活用することで上限を上回らないように債務支払いを継続している。財務省は8月から10月にかけて、債務上限の引き上げ、もしくは適用の一時停止を議会に求めざるを得なくなるとウォール街のアナリストらはみている。
「今は警戒ゾーンにある」とベッセント氏。米政府によるデフォルト(債務不履行)は決してないと強調し、債務上限を迂回(うかい)するための「小細工」は財務省は用いないと誓約した。
米政府の特別会計措置による資金繰りがいつまで持つのか、財務省は5月前半中に新たな見通しを示すと先週表明した。超党派の機関である米議会予算局(CBO)のスウェーゲル局長は5日、連邦政府の歳入は当初予想通りに推移している模様だと述べ、「夏の終わり頃、8月から9月にかけてまで」持ちこたえられると示唆した。
上限引き上げ
議会共和党はこの夏、債務上限を5兆ドル引き上げて約41兆ドルにすることを目指し、それを盛り込んだ税制・歳出削減パッケージ法案を作成中だ。上限引き上げは新規の歳出を認可するものではなく、国債保有者や退役軍人、社会保障受給者への支払いなど、すでに発生している義務の履行を可能にする。
ベッセント長官はさらに、連邦財政は持続不可能な軌道にあるとも指摘し、広く共有されている認識を改めて指摘した。しかしいつの時点で金融市場が「反旗を翻す」のか、タイミングを「見極めるのは非常に難しい」と述べた。
「債務の数字は実に恐ろしい」とベッセント氏。危機に陥れば「経済が急停止し、信用が喪失する」と述べ、「そのようなことが起きぬよう力を尽くす決意だ」と語った。
関税
貿易相手国との交渉について質問され、ベッセント長官は一部で「非常に良い」オファーの提示を受けたと回答。早ければ今週中にも合意の発表があり得るとした政権の見方を踏襲した。
「18カ国の重要な貿易相手国のうち、17カ国と現在交渉中だ」と述べ、中国が唯一の例外だと指摘した。「米国に課されている関税が大きく引き下げられ、非関税障壁は緩和されると期待している」と述べた。
一部の交渉は「非常に順調に進行している」と述べたが、相手国は明らかにしなかった。「米国に対して非常に良いオファーを持ちかけてくる貿易相手国は多数ある」と述べた。
合意の時間枠については「年内に80-90%以上がまとまるのは確実だと考えている」と述べ、「早ければ今週にも、主要な貿易相手国の一部と通商合意を発表できるだろう」と続けた。
原題:Bessent Says US on Debt-Limit ‘Warning Track,’ But No Timing Yet(抜粋)
(米債務上限についての背景と市場に関するベッセント氏の発言を加えます)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.