(ブルームバーグ):4月の米雇用統計が予想を上回る伸びとなったことを受けて、米国債利回りが上昇。関税を巡る不透明感は雇用市場にまだ目立った影響を及ぼしていないことが示され、早期の利下げ観測が後退した。
米雇用統計では、非農業部門雇用者数が17万7000人増となり、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想を全て上回った。
データ発表後、2年債利回りは一時8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.78%をつけた。市場が織り込む年内の利下げ幅は約85bpと、データ発表前の約90bpから縮小した。
ブラックロックのポートフォリオマネジャー、ジェフリー・ローゼンバーグ氏は「米連邦準備制度理事会(FRB)は失業率の上昇といった何らかの影響が確認されるまで待たざるを得ない」とブルームバーグテレビジョンに対し発言。「今回の統計にショックによる打撃は反映されておらず、それがデータに表れるのを見極める必要がある」と述べた。
先物・オプション市場では利下げ観測が後退。年内に0.25ポイントの利下げが3回行われるとの見方を完全に織り込んだ。今週初めの段階では4回と見込まれていた。一方で、年内の利下げ見送りとなった場合に利益を得る取引が足元で人気を集めており、このポジションは雇用統計の発表を控えて再び買いが入っていた。
今回の雇用統計は、来週開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)前に発表される最後の主要な経済指標となる。来週の会合では金利据え置きとの見方が支配的だ。一方、トランプ米大統領は統計発表後に、改めて利下げをFRBに要求した。
みずほインターナショナルのストラテジスト、エブリン・ゴメスリヒティ氏は「4月の関税措置による労働市場への大きな影響は、これまでのところ見られていない」と指摘。「FRBは利下げを急ぐ状況にはない。二重の責務の双方にリスクをもたらす政策の不透明感が増している状況ではなおさらだ」と述べた。

原題:US Treasuries Slide as Solid Jobs Market Gives Fed Room on Rates(抜粋)
(レートを更新し、追加情報を加えて更新します)
--取材協力:Kristine Aquino.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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