(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は17日の講演で、景気後退はないとしつつも、米国主導の世界貿易の「再起動」によって世界経済が減速すると警告した。
ゲオルギエワ氏は、トランプ米大統領の関税外交により保護主義が急進することで、高まる不確実性がコストを生み、経済活動を鈍化させ、生産性を阻害すると述べた。
ゲオルギエワ氏は「貿易は続くが、混乱によりコストがかかる。私たちの新たな成長予測は、顕著なマイナス成長を織り込んでいるが、景気後退はない」と述べた。IMFは22日、世界経済見通しを発表する。
IMFは21日からワシントンで春季総会を開く。会議は世界銀行主催で、各国の財務相、中央銀行総裁がワシントンに集まる。世界の貿易を再編し、ライバルの中国を孤立させようとするトランプ氏の取り組みにより動揺する世界経済について、議論が行われる予定だ。
IMFによる成長見通しの下方修正は、世界貿易機関(WTO)が16日に発表した、今年の世界貿易量の縮小を予想する報告書など、このところ各方面で続く下方修正の報告に続くものだ。HSBCホールディングスのエコノミストは今週、今年と来年の世界経済成長率について、これまでの2.5%、2.7%から、2.3%に下方修正した。
IMFは今年初め、トランプ氏の就任直前の経済見通しで、米国の予想以上の景気拡大を理由に、2025年の世界国内総生産(GDP)成長率見通しを3.3%に上方修正した。だが、米政府の通商政策がもたらす成長リスクを受け、方向転換することとなった。
ゲオルギエワ氏は講演で、貿易摩擦が「沸騰」している主な原因は、国家間や、より広範なグローバリゼーションの利点に対する信頼の低下にあると述べた。
同氏は「グローバルな経済統合は、膨大な数の人々を貧困から救い、世界全体を豊かにした。だが、すべての人が恩恵を受けているわけではない」と述べ、低賃金の地域への雇用の移転や、サプライチェーンの混乱が引き起こす物価上昇を指摘した。また、「多くの人が、自分たちの生活が不公平だとの感覚を、国際経済システムのせいにしている」との見方を示した。
2期目に入り約7カ月が過ぎたゲオルギエワ氏は、「この機会をとらえるこつは、古いものを維持することではなく、新しいものを構築することに全力を注ぐことだ」と述べ、この機会に各国は「よりバランスのとれた、より強じんな」世界経済を作るための政策を講じるべきだと訴えた。
原題:IMF Says Trade ‘Reboot’ to Slow Growth, World to Dodge Recession(抜粋)
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