新卒の35%が3年以内に辞める理由は「労働環境」

その一方で、新規学卒者が入社3年以内に離職する割合は年々高まっている。

2024年10月に厚生労働省が公表した「新規学卒者の離職状況」によると、2021年3月に学校を卒業し、3年以内(2024年3月まで)に仕事を辞めた人の割合(3年以内離職率)は、大卒が前年比2.6ポイント増の34.9%、高卒が1.4ポイント増の38.4%と、いずれも増加傾向にある。特に、大卒の離職率は2005年以来、16年ぶりの高水準である。

近年、新規学卒者で就職の時期を迎えている世代は、いわゆる「Z世代」にあたる。Z世代は明確な定義は定められていないが、おおむね「1990年代半ばから2000年代に生まれた世代」を指しており、2025年現在は「20代が中心」といえる。

生まれながらインターネットが利用可能だったことから「デジタル・ネイティブ」といわれ、多様性を重んじる価値観をもつ傾向などが指摘されている。

なぜ、Z世代の新規学卒者は3年以内に離職する傾向があるのだろうか。

厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」によると、初めて勤務した会社を2~3年未満で退職した理由は、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」(30.3%)、「賃金の条件がよくなかった」(30.0%)、「人間関係がよくなかった」(23.1%)の順となっている。

この調査の対象は厳密にはZ世代だけではないが、若い世代の早期退職の傾向として雇用条件や労働環境が主な理由として挙げられていることがわかる。