任天堂の株価は10日、一時4.7%安の1万1340円と5月23日以来の日中安値を付けた。メモリーチップをはじめとする部材価格の高騰が、同社の利益を押し下げるとの懸念が強まっているためで終値ベースでは4営業日続落となった。

任天堂株は12月の営業日8日間のうち7日間で下落し、この間、時価総額は約2兆2000億円減少した。10日終値は1万1580円だった。

同社ははメモリー価格の急激な上昇に直面しており、新型ゲーム機「スイッチ2」の利益率が圧迫される恐れがある。さらに周辺機器などの価格上昇もあって市場需要自体が鈍化する可能性も指摘されている。

市場調査会社トレンドフォースによると、スイッチ2に搭載される12ギガバイトのRAMモジュールの価格は今期41%上昇したほか、内蔵のNANDストレージも約8%上昇した。このNAND価格の上昇は追加ストレージとして利用されるSDカード類にも波及している。

スイッチ2への期待感が高まっていたものの、世界的なメモリー供給危機が深刻化する中、その楽観ムードは後退している。パソコンメーカーのデル・テクノロジーズやHPなども、部材コストの前例のない上昇を受け、来年の値上げを検討せざるを得ない状況だと警告している。

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本株アナリストのペラム・スミザーズ氏は、「NAND価格の上昇は高速SDカード価格にも影響し始めている」と指摘。スイッチ2の内蔵ストレージは容量が限られているため追加カードが必要になり、任天堂がコスト増を「事実上、ユーザーに転嫁した形だ」と指摘する。

さらに懸念材料となっているのが、新型機の想定より早い値引きだ。スイッチ2は発売当初、史上最速で売れているゲーム機とされたが、その人気をコアなファン層以外に広げられるかどうかには不透明感が漂う。

スミザーズ氏はブラックフライデー(感謝祭後のセール)で、スイッチ2と「マリオカート ワールド」のセットがオンラインで50ドル(約7800円)引きで販売されていたのには驚かされたと話す。マリオカートが実質的には「無料同然だった」と述べた上で、「ホリデーシーズン直前の値下げとしては異例だ」と指摘した。

--取材協力:望月崇.

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