日本航空(JAL)が同社初となる永久劣後債を10日に起債することが分かった。総額1000億円超の発行を予定し、1日から投資家の需要調査を開始した。調達した資金は新機種の航空機約90機の購入や、企業の合併・買収(M&A)などに充てる。

JAL財務部IRグループの黒坂慶樹マネジャーがブルームバーグの取材に応じた。発行総額の上限は2000億円に設定している。ブルームバーグのデータによると、国内の事業会社による円建て永久劣後債の公募発行はDMG森精機に続き2社目。

日本航空のロゴ(羽田空港で)

永久劣後債は会計上の資本に計上できるため、既存株式の希薄化を招かずに自己資本を強化する手段となる。黒坂氏はJAL本社でのインタビューで、カタログ価格で総額約2兆円に上る航空機の購入費用は、最近の円安の影響もあって事業利益だけでは賄えず、長期投資を見据えて「資本性の資金を調達するのが望ましい」との結論に至ったと説明した。カード事業の強化に向け、金融サービス事業に関連したM&Aを視野に入れていることも明かした。

投資家から見ると永久劣後債はデフォルト(債務不履行)時の弁済順位が低くリスクが高い分、厚い上乗せ金利(スプレッド)を得られることが魅力だ。黒坂氏は、金利のある世界になり「よりスプレッドのある商品へのニーズが高まっている」とし、3月の時点で幅広い機関投資家が関心を示したと話した。

JALが発行するのは償還期限の定めがなく、発行から5年後と10年後に償還が可能になる永久劣後債2本。主幹事は大和証券、野村証券、BofA証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券が務める。

(第3段落以降にJALのコメントなどを追記しました)

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