米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は3月31日、自身の基本シナリオでは米インフレ率は今年、比較的安定して推移すると予想しているものの、上昇するリスクも存在するとの認識を示した。

米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁

ウィリアムズ氏はヤフー・ファイナンスとのインタビューで、米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者による直近の四半期経済予測に言及。「FOMC参加者の間では、インフレ見通しに上振れリスクがあるとの極めて幅広い見方が示された。それは私の個人的見解とも完全に一致している」と語った。

その上で、「今後実施される可能性がある関税などの政策に大きく左右され得る上振れリスクがあることは確かだ」と説明した。

ウィリアムズ氏はトランプ大統領の関税が経済に与える影響はまだ明らかではないとし、連邦準備制度理事会(FRB)は影響を受ける業界の価格や活動を中心に最新データを注視していくと強調した。また、間接的な影響が表れるのは数年先になり得るとも述べた。

今後の利下げのタイミングについてはコメントを控えた。

パウエルFRB議長は3月のFOMC終了後の記者会見で、当局者らは行動を起こす前に、それらの政策が経済に及ぼす影響が一層明確になるのを待つことが可能だと述べていた。同FOMCでは金利据え置きが決定された。

不確実性の影響

ウィリアムズ氏はトランプ政権の政策を巡る不確実性が一部の消費者や企業の行動に影響を及ぼしている可能性が高いと述べた。ただ、経済はなお良好な状態にあるとし、米国はいわゆるスタグフレーションに陥っているわけではないと強調した。

また「金融政策は適度に景気抑制的だと見受けられる」とし、FRBは「しばらくの間」現在のスタンスを維持可能だと話した。

今年の米経済については、成長が緩やかになるとの見通しをあらためて示した。ウィリアムズ氏は移民流入ペース鈍化をかねて理由に挙げていた。

同氏はパウエル議長と同じく、長期的なインフレ期待はなお十分に安定しているとの見方を示した。

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