日本生命保険の朝日智司社長は、日本銀行の利上げに伴う利回りの上昇(価格は下落)を受けて含み損が膨らんでいる保有国債について、損失を計上してもさらに入れ替えを進めたいとの考えを明らかにした。金利変動局面でも安定した運用利回りを確保する狙い。

1日に社長に就任した朝日氏はインタビューで、円金利の「リスクマネジメントをもう少し強化していきたい」と強調。満期保有による償還を待たずとも、含み損を抱えた国内債券の適切な入れ替えなどにより「最終的な利回りが向上するようなポートフォリオが築けるよう対応していく」と述べた。

日銀の金融政策について朝日氏は、2025年度中に2度にわたり、それぞれ0.25%ずつの追加利上げがあると見込んでいる。1度目は6月から9月の間、2度目は12月から3月の間を想定し、政策金利は同年度内に1%に到達するとみている。

日本生命の社旗

日本生命の国債入れ替えも、こうした見方に基づく。長期金利の指標である新発10年債利回りは先週、17年ぶりの高水準となる1.59%を記録した。

同社では利上げ前の低金利時代に購入した超長期国債などで含み損が拡大しており、22年度から入れ替えのため国内債を年間1兆円規模(簿価)で売却してきた。24年度は9カ月間ですでに1兆3000億円分を売却するなど入れ替えペースを加速している。

日本生命の有価証券残高(一般勘定)は24年12月末時点で約70兆4000億円。そのうち30兆7000億円と約4割を占める国内債の含み損は、2兆5311億円と同3月末の1兆116億円から2倍以上に膨らんでいる。

生命保険会社の場合、保有債券の多くは会計上、「責任準備金対応債券」に区分され、原則として時価評価は求められない。ただ、含み損を抱えたままだと減損処理が必要になる可能性があるほか、資産配分でリスクを取りにくい要因になる。

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