(ブルームバーグ):トランプ氏が昨年11月の米大統領選で勝利した後、企業の間では楽観の度合いと設備投資に関する見通しが急激に高まった。しかし、それから4カ月が経過し、経営陣は様子見姿勢に転じた。
全米を対象とした調査によれば、トランプ大統領が打ち出す関税措置が次々と変わることに加え、議会が税制法案をどのように、またいつ成立させるか不透明なことが投資に関する見通しを後退させている。
経済成長の主要な原動力である投資計画を、多くの企業が保留している。エコノミストらが今年の経済成長予測を下方修正している理由の一つがこれだ。
企業による投資(住宅を除く)は、米国内総生産(GDP)の約7分の1を占める。金額ベースでは約4兆ドル(約600兆円)だ。全米製造業者協会(NAM)などの業界団体や地区連銀が実施した設備投資に関する調査は、トランプ氏当選後には投資意欲の高まりを示していたが、ここ数カ月は低下している。
31日に発表された3月のダラス連銀製造業指数によると、向こう6カ月の設備投資に関する指数は2022年6月以来の大きさで低下した。
また、フィラデルフィア連銀が実施した製造業の見通しに関する最新調査によれば、年内に設備投資を増やす見込みの企業は23%にとどまった。昨年10月時点では51%あった。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は27日、関税を賦課された国にサプライチェーンを持つ製造業者は不確実性の度合いが最も高いとし、企業の投資環境を「濃霧」に例えた。
特に中小企業において、問題は深刻だ。全米自営業連盟(NFIB)の調査によれば、向こう6カ月に設備投資を計画している中小企業の割合は3カ月連続で低下した。
NFIBのチーフエコノミスト、ビル・ダンケルバーグ氏は「不確実性が非常に大きく影響している」と指摘。「われわれが望んでいるのは、この状況が速やかに解消されること、長く待つ必要がないことだ。待つことは当然ながら、利益と売り上げを失うことを意味する」と話した。
JPモルガン・チェースのエコノミストによれば、トランプ政権1期目のより小規模な関税対立でも貿易政策を巡る不透明感が深まり、2019年終盤に設備投資の縮小が見られた。
当時、トランプ政権は既に大型減税を実現させていたが、2期目の今回はそうした状況になっていない。
原題:US Business Put Spending Plans on Ice With Tariffs, Tax-Cut Wait(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.