全国銀行協会の新会長に1日付で就任した三菱UJF銀行の半沢淳一頭取は、不祥事が相次いだ貸金庫の管理について、各行が利用ルールを定める際に参考にする全銀協のひな型の改定を検討していることを明らかにした。

半沢氏が、就任前に行ったブルームバーグとのインタビューで述べた。貸金庫の不祥事は三菱UFJ銀でも発生したことから、「多大なご心配、ご迷惑をおかけして申し訳ない」と改めて陳謝した上で、「貸金庫に保管できる物品の範囲や、その確認方法、利用目的の確認などが論点になる。全銀協のひな形の改定はしなければならない」と語った。

全銀協の半沢淳一会長(3月24日)

金融庁は3月27日、銀行監督指針の改正案を公表した。事実上、各行の約款で現金を保管できない物品として明確化するよう各行に促す内容だ。半沢氏は、新たな監督指針の中身を参考にするとしており、全銀協のひな型も現金の保管を禁止する内容になる可能性がある。

貸金庫を巡っては、昨年11月から三菱UFJ銀とみずほ銀行で、行員による顧客資産の窃取が相次いで発覚し、現金が保管されている実態が明らかになった。現金は犯罪に使われた場合に動きの追跡が困難になる可能性があり、金融庁の監督指針改正案もこうした問題意識を反映している。

半沢氏はきょう午後の就任記者会見で、事業の採算やリスクなどを踏まえて検討してきた結果、貸金庫の顧客ニーズは引き続き相応にあるとして、三菱UFJ銀では同事業を継続する方針を固めたことを明らかにした。元行員が貸金庫から約14億円の金品を盗んだとされる問題を受けて、3月までに事業の在り方についての方向性を出すとしていた。

半沢氏は会見で、貸金庫事業について金融庁の監督指針に沿ったコンプライアンスの高度化にも努めていく必要があると認識しているとも語った。

(就任記者会見の発言内容を追加し、見出しを差し替えて記事を更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.