米通信大手AT&Tは、従業員に自分が呼ばれたいジェンダー代名詞を示すバッジの着用を促す措置を廃止し、一連のLGBTQ(性的少数者)関連イベントも中止した。米大企業の間で、多様性・公平性・包摂性(DEI)の取り組みを後退させる動きが広がっている。

AT&Tの最高多様性責任者ミシェル・ジョーダン氏の役職名は現在、リンクトインでは文化・包摂性担当バイスプレジデントとされている。同社に近い関係者1人によると、ジョーダン氏のチームの名称も変更された。LGBTQ+の若者の自殺防止に取り組む組織トレバープロジェクトや、ミュージシャンと連携した一連の「プライド」プログラムなどへの資金提供も取りやめるという。

反DEI活動家のロビー・スターバック氏は7日、ソーシャルメディアへの投稿でこうした方針変更の一部に言及。LGBTQ従業員に対する企業の支援を評価付けする米LGBTQ団体ヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)の企業平等指数(CEI)といった外部調査への参加をAT&Tは減らしていると指摘した。

ブルームバーグが確認した社内文書によると、AT&Tはリーダーシップ育成を優先し、DEIに焦点を当てたトレーニングを打ち切る方針。今後は価値と質、機能に基づいて契約を結ぶほか、サプライヤープログラムを拡大し、中小企業や地元企業の参加を増やすとしている。

トランプ大統領は連邦政府機関におけるDEIプログラムを廃止し、「違法」な多様性プログラムを採用している民間企業を標的にする可能性があると表明している。

AT&Tの広報担当者は具体的な変更に関してコメントは控えた上で、「当社は業界最高のインターネットプロバイダーとして、全米の顧客へのサービス提供にコミットしており、全ての米国民がインターネットにアクセスし、提供される機会を享受できるよう万全を期している」と述べた。

原題:AT&T Drops Pronoun Pins, Cancels Pride Programs in DEI Unwind(抜粋)

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