一人勝ちはもう続かない?ビッグテックの動向に注目

エヌビディアの急成長を支えてきたのは、Amazon、Microsoft、Google、Metaといったビッグテックによる巨額のデータセンター投資だ。これらの企業は合計で45兆円規模の投資を行っており、さらにソフトバンクグループとOpenAIも5000億ドル(約75兆円)規模でAIデータセンターに投資する「スターゲートプロジェクト」を発表している。

しかし、今中アナリストは「ビッグテックはいよいよ本気で設備投資を抑え込もうとしている」と警鐘を鳴らす。「1社で1割削れば、1兆円浮く」と指摘し、コスト削減のインセンティブの大きさを指摘した。
実際に、ビッグテック各社はサーバーの耐用年数を延ばしたり、AI半導体の内製化を進めたりと、エヌビディアへの依存度を下げる動きを見せ始めている。
爆速成長の終焉?新たな戦略が求められるエヌビディア
エヌビディアの売上高成長率は、かつての2倍、3倍という驚異的な数字から徐々に鈍化している。生成AIブームの波に乗って急成長を遂げた同社だが、今後はより厳しい競争環境に直面することになりそうだ。
フアンCEOは新製品ブラックウェルに自信を見せるが、量産の難しさや利益率の低下など、課題も山積している。また、ビッグテックの投資抑制やAI半導体の内製化の動きは、エヌビディアの長期的な成長に影を落とす可能性がある。

エヌビディアは引き続き高い技術力を武器に市場をリードしているが、独占的な地位は徐々に揺らぎつつある。
半導体業界の巨人NVIDIAの動向は、AI技術の進化と市場の行方を占う上で重要な指標となる。その決算には今後も目が離せない。
TBS CROSS DIG with Bloomberg ビジネスエディター 中川雅博