半導体大手エヌビディアが発表した2025年1月期の決算は、過去最高の売上高と純利益を記録した。しかし、市場の期待に完全には応えられず、株価は一時下落。AIブームに乗って急成長を遂げてきたエヌビディアだが、その勢いに陰りが見え始めている。
期待を裏切らない過去最高益、しかし...

エヌビディアの2024年11月~2025年1月期の業績は、売上高が393億ドル(約5兆8000億円)で前年同期比78%増、純利益は220億ドル(約3兆2000億円)で同80%増となった。これらの数字はアナリスト予想を上回り、過去最高を更新している。
しかし、市場の期待はさらに高く、次期四半期の見通しが市場予想の上限に届かなかったことで、決算発表後に株価は一時1%下落した。
エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、今後の売上高のけん引役として期待される新型AI半導体「ブラックウェル」について、「供給の制約は完全に解消した」と自信を示したが、市場の反応は冷ややかだった。
DeepSeekショックを一蹴するも、新たな課題も

今年1月、中国のAIスタートアップDeepSeekが高性能AIを低コストで開発したと発表し、エヌビディアの株価は一時急落した。これに対してフアンCEOは「論理的思考ができる高性能なAIモデルは、今よりも100倍の計算能力を必要とする」と反論。新型AI半導体「ブラックウェル」がこの需要に応えると強調した。

ブラックウェルは、現行主力製品のH100と比べてAIの学習では4倍、推論では30倍の性能を誇る。しかし、楽天証券経済研究所の今中能夫チーフアナリストは「ブラックウェルはH100に比べて構造が複雑なので、量産が難しい」と指摘。「売上高、利益とも予想は上回ったが、粗利や営業利益率は低下している」と、新製品が利益を押し下げる可能性を示唆した。