次に、人員セクションは「Meet the U.S. Government:官僚機構を通じたあなたの税金の流れを追跡する」という挑発的なタイトルの下、連邦政府職員の実態を可視化している。行政府の職員総数は225万2,162人、下部組織数は1万6,436、総給与は2,113億ドルという膨大な数字が強調され、これらの数値は「大きな政府」という批判的なイメージを喚起する政治的なレトリックとして機能している。職員の属性データの提示方法にも政治的な意図が読み取れる。平均勤続年数10年、平均年齢47歳、平均給与9万3,828ドルという数値は、長期在職による硬直性、高齢化による非効率性、高給与による財政負担という批判的な文脈で提示されている。特に給与分布のグラフは、6万ドルから7万ドル台に大きな山があり、政府職員の「高給」を視覚的に印象付ける効果をもつ。

組織構造の可視化にも政治的な意図が組み込まれている。行政機関を「閣僚級機関(35)」「大規模独立機関(43)」「中規模独立機関(63)」「小規模独立機関(119)」の4層に分類し、合計260の機関が存在することを示している。この分類方法と数値の提示は、政府組織の複雑性と肥大化を強調し、組織の統廃合や人員削減の必要性を示唆する政治的なメッセージとして機能している。さらに、このデータが2024年3月時点の人事管理局のデータにもとづくものとされながら、軍、郵便サービス、ホワイトハウス、諜報機関などが除外されていることは注目に値する。この選択的なデータ提示は、DOGEによる組織再編の対象を明確化すると同時に、大統領府の直接的な統制下にある組織を分析から除外することで、権力の中央集権化を隠蔽する効果をもつ。

このように、人員セクションは「税金の無駄遣い」という批判的なフレームを通じて官僚機構を可視化し、組織の統廃合と人員削減という政策の正当化を図るレトリックとして機能している。