DOGEの3つの柱 「歳出削減」「人員」「規制」
DOGEウェブサイトは、政府効率化の具体的な施策を示す3つの主要セクション「歳出削減(Savings)」「人員(Workforce)」「規制(Regulations)」で構成されている。
これらのセクションは一見、行政改革の具体的な取組みを示すものであるが、その内容を詳細に分析すると、トランプ政権の政治的な意図が巧妙に組み込まれていることが明らかになる。本節では、これら3つのセクションを政治分析の視点から検証し、その背後に隠された意図を解明する。
まず、歳出削減セクションは、「予算の均衡を目指そう!」という刺激的なスローガンで始まり、DOGEの総削減見込額を550億ドルと大々的に掲げている。この数字は、不正の検出・排除、契約・リースの解除・再交渉、資産売却、補助金の取り消し、人員削減、プログラムの変更、規制緩和による削減を合算したものとされるが、その具体的な算出根拠は示されていない。ウェブサイトでは「適用可能なルールと規制に従って、明確な前提条件とともに、理解しやすく完全に透明な方法でこれらのデータをアップロードする作業を進めている」と説明しているが、これは実質的に説明責任を先送りにする修辞的な表現である。現時点で公開されているのは、全体の約20%を占めるとされる契約解除とリース解除の事例のみである。
歳出削減額上位10機関のランキングからは、トランプ政権による政治的なターゲティングの実態が浮かび上がる。削減総額ランキングでは、米国国際開発庁(USAID)、教育省(ED)、人事管理局(OPM)、保健福祉省(HHS)、農務省(USDA)が上位を占め、削減額の予算比では、米国国際開発庁(USAID)、消費者金融保護局(CFPB)、大統領府(EOP)、総務庁(GSA)、教育省(ED)が上位を占めている。これらの機関は、国際協力、教育、人事管理、社会福祉、消費者保護など、トランプ政権が政策的に抑制を図る分野を所管している。特にUSAIDとCFPBが両ランキングでの上位に位置していることは、国際協力と金融規制という2つの重要分野への集中的な圧力を示唆している。
