2025年1月20日、トランプ大統領は政府効率化省(Department of Government Efficiency: DOGE)の設立を命じる大統領令に署名した。この大統領令は、テクノロジーとソフトウェアの近代化を通じて、政府の効率性と生産性を最大化することを目的としている。
注目すべきは、この大統領令が既存の米国デジタルサービス(United States Digital Service)を「米国DOGEサービス(USDS)」として大統領府内に再編し、その指揮下に18ヶ月の時限組織を設置する点である。さらに、各行政機関には最低4名のDOGEチームを設置することが義務付けられ、エンジニア、人事専門家、法務専門家などで構成される専門チームが、USDSと連携しながら各機関の効率化を推進する体制が整えられた。
大統領令では特に、USDSに対して各行政機関の非機密記録、ソフトウェアシステム、ITシステムへの「完全かつ迅速なアクセス」を保証することを明記している。これは従来の行政機関の独立性や情報管理のあり方に大きな変更を迫るものであり、その影響は広範に及ぶことが予想される。
DOGEの設立は、行政のデジタル化と効率化を目指す技術的な取り組みとして提示されており、政府の無駄を削減し、国民へのサービスを向上させるという目的が掲げられている。確かに、政府の肥大化や非効率性は、長年指摘されてきた問題であり、テクノロジーを活用した改革の必要性には一定の合理性がある。しかし、DOGEの具体的な施策や情報公開のあり方を詳細に分析すると、トランプ政権による行政機構の大規模な再編という、別の側面が見えてくる。
DOGEウェブサイトの詳細な分析を通じて、その背後にある政治的意図を明らかにするとともに、日本を含む同盟国、中国などの競合国、そしてグローバルに展開する企業への潜在的な影響を多角的に考察する。